免責とは? がん保険に入る前に絶対押さえたい注意点

保険の基礎知識

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免責とは? がん保険に入る前に絶対押さえたい注意点

いろいろながん保険を見比べていると、「どの保険がいいのかな」と迷うことはよくあります。がん保険を選ぶときには、保障内容や保障額に加えて、細かなポイントにも注意が必要になります。そこを見逃してしまうと、せっかく加入した保険がいざというときに使えない、ということにもなりかねません。

ここでは、保険を選ぶとき、また加入する前に確認しておきたいポイントについて、お話することにしましょう。

まとめ. がん保険選びは細かいところにも注意して

1.保険特有のルールを知っておこう

1-1 聞き慣れない言葉に要注意!

保険についてあれこれ調べていると、よく耳慣れない言葉にぶつかります。

免責、不担保、待期期間、責任開始日…これらはがん保険の世界ではよく使われる言葉で、しかも重要な意味を持っています。そのため、これらの言葉の意味を知らないままで保険を選び、契約してしまうと、いざという時にあてにしていた保障が受けられず、「えっ、そうなの?」と慌てることにもなりかねません。

そこで、こうした言葉の意味を理解しておけば、どのようなときに保障されるか、どういうケースが保障されないのか、正確に知ることができます。そうなれば複数の保険を見比べたときにも、どちらが自分にとって有用なのかが分かるようになります。

つまり保険の見直しや乗り換えを考えるときには、これらの言葉には十分注意するべきなのですが、その中でも重要なのは「免責」でしょう。

1-2 「免責」に該当するとどうなる?

免責とは「責を免れる」、つまり加入している保険が「保障の責任を負いません」という意味です。この免責に該当すると、保険による保障は受けられなくなります。

もう少し具体的にお話しましょう。

一部の保険では、入院給付金の支払いに関して「免責日数4日」などという条件がついているものがあります。これは「入院したら、最初の4日間は保険の責任を負いません」という意味で、その後、5日目を1日目として入院給付金が支払われます。

ですからこのタイプの保険に加入していて、5日間入院したとすると、5日目1日分の給付金しか受け取れません。これが「免責日数なし」であれば初日から保障されますので、まるまる5日分の給付金を受け取れます。これはかなり大きな差です。

現在では、がん保険を含めて多くの医療保険が入院初日から保障されるようになってきましたが、保険を選ぶ際にはきちんと確認しておきたい項目です。

また、がん保険を新規に契約した場合には、契約日から起算した「免責期間」というものが発生します。これは契約日から一定の期間を免責期間として、その間にがんの診断を受けても保障の対象外とする、というものです。

この免責期間は一般的に90日(または3ヶ月)。つまり申し込みをして審査が終わり保険料を払い込み、保険契約が成立しても、その後3ヶ月以内に見つかったがんに対しては保障が受けられず、契約は無効となってしまいます。

1-3 免責期間で保たれる保険の公平性

免責期間は「待期期間」などとも呼ばれます。契約から90日後を「責任開始日」として、この日以前にがんが見つかり、給付手続きをとったとしても、一切保障されません。

「契約して保険料だって払っているのに、保障されないなんてあんまりだ」と思われるかもしれません。ですが免責期間は、保険の公平さを保つためのものなのです。

一般の医療保険と同様、がん保険も申し込みの際に自分の健康状態を保険会社に告知します。仮に初期のがんだとしても自覚症状がないことも多く、告知の段階で本人が体の異状に気づいていないことも多々あります。

一方で、体の異状を感じ「もしかしたら…?」と不安を持ちながらもがん保険に加入し、その後病院で受診してがんが見つかる、というケースもあります。こうしたことを防ぎ、保険の公平さを保つために90日の免責期間が設けられているのです。

免責期間について

1-4 免責期間で発生する保険の空白

この90日間の免責期間は、保険の乗り換えを行う際には注意しなくてはならないポイントです。

たとえば現在加入している保険を解約して、別の保険に乗り換えるというような場合。あるいは、現在加入している定期保険の満期に合わせて、別の保険を新規で契約するという場合。いずれの場合も、新規契約の免責期間に注意しておかねばなりません。

たとえば保険を乗り換えるつもりで、新たな保険を申し込み、審査が通って契約が成立。ですがここで安心して、今までの保険をすぐに解約してしまうと、新たな保険の責任開始日まで、無保険の状態になってしまうのです。この間にがんと診断されたとしても、保障を受けることができません。

「なあに、3ヶ月くらい大丈夫だろう」と思われる方もいるかもしれません。ですが、そうでなければ、この保険の空白期間をあなたは「何かあったらどうしよう…」と不安を抱えて過ごすことになります。安心を得るための保険が、不安要素になってしまっては本末転倒というものでしょう。

ですからこうした場合には、新たな保険を契約して90日が経過し、責任開始日が過ぎてから以前の保険を解約する、という手順を踏みます。「その間の保険料がもったいない」と思われるかもしれませんが、そこは仕方のないことと割り切りましょう。3ヶ月の保険料を惜しんで、万一本来受けられる保険の恩恵を受けられなくなったら、それこそ大変です。

定期保険の満期に合わせて保険を乗り換えるときも同様です。現在加入している保険の満期日がいつか、そこから逆算して90日以前には、新たな保険の契約が成立していなくてはなりません。

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2.がん保険で保障されない「がん」とは?

2-1 がんにもいろいろな種類がある

前項までにお話した「免責」に関係することですが、時としてがん保険が保障してくれないがんがあります。それが「上皮内新生物」です。

上皮内新生物とはがん保険ではよく出てくる言葉ですが、これはれっきとした医学用語で、がんの一種を指します。

私たちが一般に「がん」と呼んでいるものは、医学的には「悪性新生物」と呼ばれます。爆発的な増殖力を持ち、周囲の正常細胞を次々にがん細胞へと変化させ、病巣を拡大します。手術などで取り除いても、転移や再発の可能性は捨てきれず、その後の警戒も欠かせなくなります。まさに悪性の厄介者です。

一方の上皮内新生物は、確かにがんには違いないのですが、悪性新生物と比べるとかなり穏やかです。下の図を見てください。

上皮内新生物の模式図【大腸(結腸・直腸)】

これは大腸の場合ですが、人間の臓器はこのように、いくつかの層に分かれています。その表面にあたる上皮細胞にできたがんが上皮内新生物です。

そのまま放置しておくと基底膜を越え、より深い部分にまで広がっていく可能性はありますが、この状態のうちに手術で切除してしまえば、まず間違いなく治ります。転移や再発の心配もありません。

つまり一般的ながん…悪性新生物と比較すると、治療しやすく、治りやすいがんなのだということができます。

かたや転移や再発の恐れがある悪性新生物。かたや治りやすい上皮内新生物。このふたつを、同じがんだからという理由で同列に扱うのは公平ではない。そうした考え方にはうなずけるものがあります。

2-2 上皮内新生物ができやすい部位は?

上皮内新生物はがんには違いありませんので、さまざまな臓器に発生する可能性があります。しかし実際には「発生しやすい部位」というものがあるのです。それはずばり、子宮膀胱です。

■上皮内新生物ができやすい部位

    ・子宮がん 44.4%

    ・膀胱がん 33.7%

    ・大腸がん 18.5%

    ・乳がん 10.5%

    ・食道がん 6.5%

これは2008年と少し古い統計の数字なのですが、上皮内新生物の発生部位が、明らかに子宮と膀胱に偏っているのが分かります。ことに子宮については44.4%と、全体の半数近くを占めています。つまり女性の上皮内新生物の発生リスクはかなり高いということがうかがえるのです。

2-3 免責の有無が保険のよしあしではない

現状では、上皮内新生物を保障の対象としている保険と、免責としている保険が混在しています。また悪性新生物と区別して「保障はするけれども、その額を減らす」という保険もあります。いずれも保険会社の考え方、さらにはその保険商品の設計に関わる部分ですので、免責の有無だけで保険のよしあしを判断することはできません。

ただ上皮内新生物に限っていえば、お話したように容易に治せるものです。ですがそれを免責とせず、保障に組み入れるとなると、結果として保険料に影響することになります。

もっと簡単にお伝えしましょう。

上皮内新生物も保障するけれども、そのぶん保険料は高い。
上皮内新生物は免責とするけれども、そのぶん保険料は安い。

もしもこのような違いがあるとしたら、どちらを選ぶかは契約者自身が判断するしかありません。

前項でお話したように、上皮内新生物は子宮と膀胱で多く発生しています。となると、女性が加入するならば上皮内新生物をカバーしてくれる保険のほうが良い、という判断もできるでしょう。

ことに子宮がんの罹患率は20代の半ばを境に急速に高まりますから、がん保険への加入をお考えの女性は、そうした事実も考慮して保険を選ぶ必要があります。


3.がん治療で収入減、どうする?

3-1 がん治療に専念するためには

がんの診断を受け、治療を始めるとなると、いろいろな不安や心配が頭をよぎります。自分の健康、将来への不安。ですが「保険」と関連する不安といえば、やはりお金の心配です。

がん治療の場合、その多くはある程度の日数がかかります。

手術ともなれば術前の検査や準備、術後の回復のために2~3週間の入院が必要になります。近年では手術法の改良が進み、入院日数が短縮される傾向にありますが、それでも従来よりも2~3日短くなる程度。劇的な短期間で退院できる、というわけではありません。

退院したあとはしばらく自宅療養ということになり、定期的な検査のために通院もしなくてはなりません。

通院治療でも同様です。化学療法や放射線治療は通院で受けることができますが、あらかじめ数週間単位でのスケジュールを作り、それを1クールとして、消化するたびに次回のスケジュールを立てていく、ということになります。

このように、がん治療は長期間におよぶことが多く、そのため治療費もかさみます。

しかしそれ以上に心配なのは「治療を受けている間の収入が減ってしまう」ということでしょう。それが心配で治療に専念できないとしたら大きな問題であり、治療の障害にもなります。

3-2 標準的な保障で十分なのか?

がん保険には「診断給付金」「入院給付金」「退院給付金」という保障が付いています。これはがん保険の主軸ともなるもので、ほとんどのがん保険がこれらの保障を備えています。

診断給付金は「がん」と診断された時点で支払われます。

どのような治療法であれ、がん治療を始めるとなると、何かとお金が入り用です。入院となればこまごまとした日用品なども買いそろえる必要がありますし、着替えなどの衣類も必要でしょう。

また高額医療費制度を使うにしても、事前に手続きを取らないと、医療費の自己負担分は、一度は病院の窓口で支払わなくてはなりません。それらの費用にあてるには、診断給付金は使い勝手が良いものです。

入院給付金はその名の通り、入院日数に対して「1日いくら」という形で給付されます。多くのがん保険では日数の上限がありませんから、入院が長引けばそれだけ給付額も増えていきます。

退院給付金は退院によって給付されるものです。

退院したからといって、それでがん治療が終わるわけではありません。しばらくは自宅療養が必要でしょうし、体の回復が思わしくなければ、仕事への復帰もすぐには難しいでしょう。そうした状況をサポートするための保障です。

このように、がん保険ではがん治療のプロセスに合わせて複数の保障が用意されています。ですが、これらの保障は医療費をカバーするためのものであって、治療期間の収入減を保障してくれるものではありません。

3-3 就業不能保障があればなお安心

がん治療を受けている間の収入減をサポートしたい……。そんなニーズに応えてくれるのが「就業不能保障」です。これは単独の保険商品として、あるいはがん保険とセットになって販売されているものです。

細かな条件に違いはあっても、その保障内容はいたってシンプル。がんを始めとして病気やケガで働けない状態になると、契約に応じて年金が給付されるというものです。年金は複数回に分けて給付されますが、商品によっては一度にまとめて受け取ることもできますから、診断給付金とは別に、まとまった額のお金が必要になる場面でも大いに役立つでしょう。

がん治療はどんどん進歩し、手術の場合の入院日数も短縮されてきています。放射線治療や化学療法も、通院でできるケースが多くなりました。これは治療を受ける側としては歓迎するべきことなのですが、入院日数が減るということは従来のがん保険で保障していた入院給付金を受けることができません。しかも自宅療養の状態では、仕事に復帰することも難しく、結果、収入減につながってしまいます。

この保険はそうしたリスクに応えるものです。「医療費もさることながら、治療期間の収入減をカバーしたい」という方には、就業不能保障が付いているタイプのがん保険や、単体の就業不能保険は、検討してみる価値があると言えるのではないでしょうか。

⇒就業不能保険ってなに? 詳しくて分かりやすい就業不能保険の解説はこちら!


まとめ:がん保険選びは細かいところにも注意して

ここでは、

    ・がん保険には「免責」という設定があること

    ・免責期間、免責事項には一切の保障がなされないこと

    ・「上皮内新生物」を免責とする保険もあること

    ・一般のがん保険では、収入減までは保障されないこと

    ・収入減を保障してくれる保険もあること

などについてお話してきました。いずれも細かいことなのですが、また重要なことでもあります。

そして保険を選ぶときには、こうした細かな条件についてもきっちりと調べ、理解したうえで加入することが重要です。それは「自分に合った保険を選ぶ」ためには欠かせないことだといえるでしょう。

とはいえ、保険会社は数多くありますし、それぞれの会社からさまざまな保険が発売されています。こうした細部の違いにも注意を払い、そのうえでひとつの商品を選ぶのは、決して簡単なことではありません。

そこで役に立つのが、保険の専門家の意見です。

保険見直し本舗でも多くの保険の専門家としてコンサルティングアドバイザーが多数在籍しています。そういった保険の専門家が、希望やニーズをくみ取り、どんな保険が適しているか、どんな特約を付ければ良いかを無料で丁寧にアドバイスします。ぜひご相談ください。お待ちしております。

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