「社会人になったら保険くらい入らないと」
長かった学生時代を終え、社会人として大人の仲間入りをしたときに、必ずと言っていいほど耳にする言葉です。就職をして社会に出れば、もう一人前の大人。自分のことは自分でキチンとしたいという思いから、人生で初めて保険について考える方も多いのではないでしょうか?
ですが「保険」といっても、多くの種類がありますし、なんとなく難しいイメージもあります。新社会人の皆さんの中には、
「ちゃんと保険を選びたいけど、どうやって保険を選べば良いのか分からない……」
そう感じている方もいらっしゃると思います。
そこで、ここでは「そもそも保険とはなにか?」「新社会人が考えるべき保険はなにか?」という2つを保険選びのポイントとして分かりやすくお伝えしていきます。
この記事を読んでいただければ、新社会人が保険を選ぶうえでのポイントと知識がしっかりと身につくはずです。ポイントを押さえてしまえば、保険選びは決して難しくはありません。この記事が、皆さんの初めての保険選びの一助になれば幸いです。
1.そもそも保険ってなに?
唐突ですが、そもそも保険とはなんでしょうか?
何事においても、基本をつかむことが大切です。ここでは、簡単に「保険の始まり」「保険に加入するメリット」「保険の種類」についてお伝えしていきます。これらを通して、保険がどういうものなのか、大まかなイメージをつかみましょう。
1-1 保険の始まり
一説によると、そもそもの保険の始まりは、中世ヨーロッパまでさかのぼると言われています。
当時ヨーロッパでは、同じ仕事をしている人たちは「ギルド」と呼ばれる同業組織に属していました。今の言葉でいえば、「組合」が近いでしょうか。漁師は漁師のギルドに、大工は大工のギルドに、木こりは木こりのギルドに、それぞれ加入していたのです。
ギルドには、あるルールが設けられていました。ギルドのメンバー全員は、メンバーそれぞれの身に降りかかるリスクに備えて、日ごろから少しずつ共通のプールにお金を積み立てる義務を課されていたのです。
リスクというのは、たとえば「ケガや病気で働けなくなる」、「残された家族が生活できなくなる」といったことを想定しています。そのようなリスクに遭ったメンバーや家族は、共通のプールの積立金から必要な資金をまかなうことできました。
このギルドのルールこそが、保険の始まりだとされています。そこに、「いざというときにメンバー同士でお互いに救いの手を差し伸べ合う」という「相互扶助の精神」が見られるからです。
この相互扶助の精神は時代や社会の状況によって形を変えながら、今の保険にも脈々と受け継がれています。たとえば、国が運営している保険(国民健康保険、国民年金保険など)も、県や組合が運営している保険(県民共済、JA共済、コープ共済など)も、民間の保険(保険会社の保険など)も、それらすべてに共通しているのは相互扶助の精神です。
つまり保険とは、「相互扶助の精神に基づいた助け合いの制度」だと言えるでしょう。
1-2 保険に加入するメリット
では、保険が相互扶助の精神に基づいた助け合いの制度だとして、具体的に保険に加入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか?
保険に加入する最大のメリットとしては、「いつ起こるか知れない大きなリスク」に比較的「小さな負担」で備えることができる点です。
保険の加入者が、万が一のアクシデントに遭遇した場合、本人やその家族は、その保険の加入者全員が少しずつ出し合っているお金(保険料)の中から、所定の金額(保険金)を受け取ることができます。
たとえば、あなたが病気やケガをした場合、入院をしたり手術を受けたりすることがあるかもしれません。入院や手術によって働けない期間があれば、収入が途絶えてしまうことが考えられますし、それに加えて治療費もかかってきます。
もしも重い症状で、入院が長期化したり、手術が高額化したりすれば、さらにそれらの負担は家計に重くのしかかってくるでしょう。場合によっては、今までの生活そのものが成り立たなくなってしまう懸念も拭えません。
そんなときに、まとまったお金として受け取れる保険金は、自分や家族の生活への負担を和らげる大きな助けとなるのではないでしょうか? 万が一のことがあったとしても、十分な保険金さえあれば、当面の生活資金をまかなえたり、ゆっくり治療に専念し身体を休めたりすることができます。
このように「大きなリスク」に対して、比較的「小さな負担」で備えられるところが保険に加入するメリットだと言えるでしょう。
1-3 保険の種類 ~第一分野・第二分野・第三分野の保険~
保険と一口で言っても、数多くのバリエーションが存在します。医療保険、がん保険、生命保険、就業不能保険、傷害保険…など、思いつくまま挙げていけばキリがありません。いざ保険を考えようと思っても、たくさんの保険商品を前にして最初の一歩を踏みだしあぐねている方も多いのではないでしょうか?
そこで、ここでは自分の希望に合った保険を見分けるための簡単な保険の区分についてご説明します。一般的な保険の分類ですので、これを覚えて効率的に自分に合った保険を見つけられるようにしましょう。
保険は、保険業法という法律によって、大きく3種類に分類されています。保険業法上、生命保険会社のみが取り扱える「第一分野」(生命保険)、損害保険会社のみが取り扱える「第二分野」(損害保険)、そして生命保険会社も損害保険会社も取り扱える「第三分野」(医療保険)です。
それぞれ具体的に見ていきましょう。
●第一分野(生命保険)
第一分野の保険とは、保険業法的に生命保険会社だけが取り扱える保険のことです。具体的な保険の種類で言うと、終身保険、定期保険、養老保険などが第一分野の保険に当たります。イメージとしては「人の病気やケガによる死亡に対する保険」で、一般的には生命保険と呼ばれる保険のことを指します。
●第二分野(損害保険)
第二分野の保険とは、保険業法的に損害保険会社だけが取り扱える保険のことです。具体的な保険の種類で言うと、自動車保険、住まいの保険、火災保険、地震保険などが第二分野の保険に当たります。イメージとしては「車や家などの“物”に対する保険」で、一般的には損害保険と呼ばれる保険のことを指しています。
●第三分野(医療保険)
第三分野の保険とは、保険業法的に生命保険会社も損害保険会社も取り扱える保険のことです。
少し背景を補足すると、もともと入院保障や手術保障といった医療保障は、第一分野(生命保険)の特約として扱われてきました。しかし、規制緩和の流れを受けて医療保障単体で登場したのが第三分野の保険(医療保険)です。
第三分野の保険には病気やケガで入院・手術をしたときに備える通常の医療保険はもちろん、がんに特化した保障を備えたがん保険、介護に特化した保障を備えた介護保険なども含まれています。イメージとしては「病気で入院や手術をしたり、介護が必要になったりしたときのための保険」だと言えるでしょう。
2.新社会人が加入を検討するべき保険
前章では、「そもそも保険とはなにか?」という点についてお話してきました。では、社会人になったら、そのうちどの保険を検討すれば良いのでしょうか?
先ほど保険は「第一分野(生命保険)」「第二分野(損害保険)」「第三分野(医療保険)」の三種類に分かれていることをお伝えしましたが、新社会人の方が検討するべき保険は、基本的に次の三種類のみです。
- 医療保険
- 就業不能保険
- 資産運用に活用できる保険(個人年金保険/終身保険)
ここでは、上記のそれぞれの保険について、その概要と検討すべき理由について簡単にお伝えしていきます。
2-1 医療保険~入院・手術の費用に対する備え~
医療保険は、病気やケガによる入院・手術に対して備える保険です。保障内容としては、入院1日につき5,000円~10,000円、手術1回につき50,000~100,000円を受け取れるものが一般的です。
現在の医療保険には、先進医療や三大疾病に対して手厚い保障を受けられる特約を付加できるものも多くなっています。
『令和元年度 生活保障に関する調査』(生命保険文化センター)によれば、万が一入院した場合の自己負担額は1日につき平均23,300円とされています。また、平均入院日数は15.7日という結果が出ています(※1)。これらを参考にすると、単純計算での平均ですが、1回入院をしたら約40万円近くの医療費がかかると言えそうです。
もちろん、日本には充実した社会保険や高額療養費制度などもありますから、入院や手術をした際の費用すべてを医療保険でまかなおうとする必要はありません。ですが、もしも病気やケガで入院となれば、仕事を休んで収入が減少する中、ある程度の医療費の自己負担は発生します。
すでに入院や手術の際の治療費をカバーできるだけの貯金があるのなら問題はないのですが、少なくともまだ貯金が不十分な新社会人のうちは、最低限の医療保険を持っておいたほうが良いと言えるでしょう。
2-2 就業不能保険~長期間にわたり働けなくなったときの備え~
就業不能保険は、病気やケガで働くことができなくなった際に、その間の収入をカバーするための保険です。基本的な保障内容としては、毎月の給料と同じような形で、月に一度保険金を受け取ることができます。
病気やケガに対して備えるという意味では、保障が医療保険と重複するように感じるかもしれませんが、医療保険と就業不能保険では、その保障内容は異なります。医療保険が「病気やケガによる入院・手術に備える保険」なのに対して、就業不能保険は「病気やケガにより2ヶ月以上の間、働くことができなくなった時の収入減に備える保険」です。
言いかえると、基本的に医療保険が病気やケガによる短期的なリスクをカバーしているとしたら、就業不能保険は病気やケガによる長期的なリスクに対応しています。
具体的にいえば、病気やケガで働けなくなり長期的な入院や在宅療養を余儀なくされたら、治療費の負担と働けない期間の収入減が同時に押し寄せてきます。そのすべてを入院・手術に特化した医療保険のみでまかなうのはかなり難しいでしょう。
病気やケガにより長期的に働けなくなるリスクは、新社会人の身に降りかかることもあり得えます。そういった意味では、就業不能保険は新社会人にとっても準備しておく意義のある保険の一つだと言えそうです。
2-3 資産運用に活用できる保険(個人年金保険/終身保険など)~将来への備え~
生命保険には、いざというときの保障を備えるタイプのほかに、将来のための資産運用に活用できるタイプがあります。具体的には、個人年金保険、低解約返戻金型終身保険といった保険です。
基本的にこれらの保険の特徴は、すべての保険料の払込みを終えたあとに満期や解約などで保険金を受け取る場合、支払った保険料の総額に対する受け取った保険金の総額の割合(返戻率)が100%を超えることが多い点が挙げられます。
また、資産運用に活用できるタイプの保険は、原則的に加入時期が早ければ早いほど運用期間が長くなるので、返戻率は高くなる傾向にあります。
そういった意味で、資産運用として活用できる保険は、もちろん収入にゆとりがあればですが、自分の将来を考える意味も含め新社会人になったら一考の余地はあると言えそうです。
まとめ:保険選びはしっかりと自分に必要な保障を考えたうえで!
いかがでしたか? ここでは、
- 保険は「相互扶助の精神に基づいた助け合いの仕組み」
- 保険に加入するメリットは「大きなリスク」に対して比較的「小さな負担」で備えることができる
- 保険の種類は大きく分けて「身体的なリスク=ヒトのリスクに備える第一分野の保険」「偶発的なアクシデント=モノのリスクに備える第二分野の保険」「そのどちらにも属する(もしくは属さない)第三分野の保険」
- 新社会人が考えるべき保険は「医療保険」「就業不能保険」「資産運用に活用できる保険」
などについてお話してきました。
ですが、ここでお伝えしたことは、新社会人が保険を考えるうえで押さえるべき最低限のポイントに過ぎません。保険を選ぶときには、職業や家族構成、すでに加入している保険、将来的なライフプランなども含めて総合的に考える必要があります。
もしも「保険について真剣に考えるのは初めてだし、なんか難しそうだな……」と少しでも思われた方は、プロの助言に耳を傾けてみるのもひとつの方法かもしれません。
保険見直し本舗でも知識と経験の豊かな保険のプロが、どんなに小さなことでも丁寧にひとつひとつお答えし、皆さんの初めての保険選びを精一杯サポートさせていただきます。
まずはお気軽に保険の悩みをお寄せください。心よりお待ちしております。