就業不能保険とは? 保障内容や他保険との違いを解説

保険の基礎知識

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就業不能保険とは? 保障内容や他保険との違いを解説

「もしも病気やケガで何カ月も働くことができなくなったら、そのあいだの治療費や生活費はどうしよう……?」

たとえば皆さんも、ご自分やお知り合いが病気やケガをした時などに、そのような不安を抱いた経験はあると思います。もし短期間の入院であれば医療保険で十分にカバーできますし、万が一のときには生命保険でしっかり備えることができます。ガンにかかった時にはガン保険から保障を受けられますし、介護状態に陥った時には介護保険を準備しておけば安心でしょう。

しかしながら、一般的なこれらの保険で部分的にカバーできるところはあるとはいえ、いずれの保険にも病気やケガで長期間にわたって働くことができなくなった場合に特化した保障は、必ずしも十分に備わっていません。そうした従来の保険では補いきれない「長期間に及んで働けなくなるリスク」をカバーする保険として新たに脚光を浴びているのが就業不能保険です。

ですが、今はまだ就業不能保険は、医療保険や生命保険と比べるとメジャーな保険ではありません。就業不能保険と聞いても「何となく働けなくなった時に保障を受けられることはイメージできるけど、具体的にどのような保険かは分からない」という方も多いのではないでしょうか?

そこで、ここでは、

    1、長期間働けないと具体的にどのようなリスクがあるのか

    2、そのリスクに対して備える就業不能保険とはどのような保障内容の保険なのか?

    3、収入保障保険や所得補償保険との違いは何なのか?

    4、就業不能保険が必要な人はどんな人なのか?

という4点について分かりやすくお伝えしていきます。

まとめ. 就業不能保険とは

1.長く働けなくなると何が困る?

就業不能保険は、その名前が示すように「長期的に働けなくなったときに保障を受けられる保険」です。

私たちは、がん、心疾患、脳血管疾患といった重篤な病気にかかったり、あるいは突然のケガや事故により身体に重い障害が残ったりした場合、長期の入院もしくは在宅療養を余儀なくされ、今まで通り仕事を続けていくことが厳しい場合があります。

そのような就業不能状態に陥ったときのリスクとしては大きく分けて、「入院や手術で治療費がかかること」「仕事ができなくなり収入が減少すること」の2つが挙げられます。ここでは、それぞれ具体的にどのくらいの費用がかかるのかを見ていきましょう。

1-1 病気やケガになったらどのくらい費用がかかる?

病気やケガにより入院・手術をする場合、当然治療費がかかります。公的医療保険が充実しているので、必ずしも自己負担額は大きくならないとも言われていますが、その金額は実際にどのくらいなのでしょうか?

生命保険文化センターの令和元年度の「生活保障に関する調査」では、入院した時の1日あたりの治療費の自己負担額や、平均入院日数についての調査が行われています。それによれば、入院1日につき自己負担額は平均23,300円となっており、平均入院日数は15.7日という結果になっています。

なお、自己負担額の内訳は、入院・手術にかかる治療費に加えて、公的医療保険制度の適用外となる、入院した時の食事代や部屋代、そして交通費、被服費、日用品費といった見過ごされがちな費用も含まれています。

これらを踏まえて単純計算をしてみると、平均的な自己負担額としては、23,300円×15.7日=365,810円 となります。

もしも、入院時の自己負担額がこの程度であれば、医療保険にさえ加入していれば、多少の貯金の切り崩しでどうにか切り抜けることができそうです。

しかしながら注意を払いたいのは、「脳血管疾患」「高血圧性疾患」など、私たちにとって身近な病気の中には入院日数が長期に及びやすいものもある、ということです。たとえば厚生労働省の平成29年の「患者調査」によると、上記の病気のそれぞれの入院日数は次のようになっています。

■入院が長期化しやすい病気の入院日数

    脳血管疾患:78.2日

    高血圧性疾患:33.7日

いずれの病気も平均的な入院日数を大きく上回っています。先ほど入院1日につき自己負担額は平均23,300円だとご紹介しましたが、それを踏まえてこれらの病気にかかったときの費用を算出すると、以下のようになります。

■入院が長期化しやすい病気の自己負担額

    脳血管疾患:23,300円×78.2日=1,822,060円

    高血圧性疾患:23,300円×33.7日=785,210円

もちろん、入院をしたすべての方がこの例に当てはまるわけではありません。しかし、場合によっては、これだけの費用と期間を要する可能性は十分に考えられるということです。そのとき、医療保険や貯金のみで全てをまかない切ることは難しいでしょう。なにかそれらとは違う方法で、長期的な入院や療養に対する備えはしておいたほうが良いと言えそうです。

1-2 収入が減っても払い続けなければいけない生活費やローンはどのくらい?

病気やケガで働けなくなると、入院や手術、在宅療養による治療費などの支出増だけではなく、仕事を休んでいる間の収入減も大きなリスクの1つに数えられます。

もちろん、長期間の就業不能状態に陥った際に保障を受けられる公的制度は用意されています。たとえば、会社員の方であれば、働けなくなって4日目から通算1年6カ月の間は、それまでの給与の約2/3に当たる傷病手当金を受け取れますし、それ以降も回復を見込めないときには障害年金を受け取れる可能性もあります。

ですが、それらは受給できる期間や条件が決められているため、やはり働いていた頃と比べると、大幅な収入減は避けられません。

気を付けたいのは、たとえ就業不能状態になり収入減に見舞われたとしても、食費、光熱費、水道費といった、生きていくうえで必要最低限の費用は発生し続けることです。

また、住宅ローンの返済、子供の学費・習い事の費用などの支払いも、こちらの事情に合わせて待ってはくれません。もしも就業不能状態になったときに、なにも備えがなかったとしたら、子供のやりたい事を諦めさせてしまったり、せっかく購入したマイホームを手放さざるを得なかったり、といった最悪のケースも想定できます。やはり、このような家族に負担をかけてしまうリスクはできれば避けたいところです。

では、具体的に私たちが生きていくうえでの最低限の生活費や、住宅ローンの返済額といった諸費用はどのくらいの金額なのでしょうか? 主に生活費として挙げられるのは、食費、家賃・設備費、光熱・水道費、家具・家事用品費、被服及び履物費、保健医療費、交通・通信費、教育費、教養娯楽費などです。これらの生活費はもしも働くことができなくなったとしても、継続的に支払が続いていきます。

厚生労働省による「家計調査」によれば、日本の2人以上の勤労者世帯においては、消費支出は月平均約31.5万円にも上ります。さらに、そのうち住宅ローン返済世帯では、1カ月あたりの住宅ローン返済額は月平均約9.2万円となっています。仮に病気やケガで働けなくなって収入が減少したとしても、これだけの金額を継続的に支払っていかなければならないということです。

もしも、働けなくなったとしても、短期間のうちは貯蓄などを切り崩しながら節約に気を使えば、決して楽ではないかも知れませんが、十分にしのいでいけるでしょう。しかしながら、働けない期間が長期に及んだとしたら、収入が減少するなかで生活費や住宅ローン、子供の教育費・習い事費用などを払い続けていくのは骨が折れそうです。

そうしたときに就業不能保険から、仕事での収入に代わる保険金を毎月受け取ることができれば、大きな助けになることは間違いありません。

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2.就業不能保険はどんな保障内容の保険なのか?

就業不能保険は、病気やケガで働けない状態に陥ったときに、「病気やケガに対する治療費」や「働けない間の収入減少」といったリスクに対して備える保険です。

具体的にいえば、就業不能保険の加入者は、所定の就業不能状態に陥った際に、給与と同じような形式で毎月一定の保険金を受け取ることができます。その保険金を毎月の治療費や生活費に充てれば、家計はかなり助かるのではないでしょうか。

とはいえ、就業不能保険は医療保険や死亡保険などと比較すると、ややマイナーな保険です。なんとなくイメージは浮かんでいても、その具体的な内容まで踏み込んでご理解されている方は少ないように思います。

そこで、この章では具体的な就業不能保険の内容と、他の保険との違いについて解説していきます。

2-1 保険金額はいくら位?

就業不能保険の保障は毎月の仕事の収入をカバーするためのものなので、各保険会社や保険商品によって多少の違いは見られますが、いざというときに受け取れる保険金はおおよそ月10万円~50万円程度が一般的です。

基本的には、それぞれの年収や生活状況、家族構成、ライフプラン等に合わせて5万円~10万円単位で保険金額を設定することができます。また、保険商品によっては、月々の受け取る保険金額を時期に合わせて調整できるものも存在します。

2-2 満期・保険期間はいつまで?

就業不能保険は、現役で働いている間に病気やケガで働けなくなってしまうリスクに備える保険です。ですので、就業不能保険の保険期間は現役で働いている期間を中心としており、自身の働き方に応じて概ね50歳~70歳までの間から5年単位で設定することができます

「子供の独立まで」「住宅ローンの返済が終わるまで」など特定の目的のために短期間の備えを用意したい方は50歳~60歳を満期に、「仕事をしている間はずっと保障がほしい」といった方は退職の時期に合わせて60歳~70歳を満期として選ぶことが多いようです。

2-3 何歳から何歳まで加入できるの?

就業不能保険は、主に現役で働いている方向けの保険だと言えます。したがって、一般的に就業不能保険へ契約可能な年齢は20歳~60歳までになっています。

2-4 どういう時に保険金は支払われるの?

就業不能保険における保険金の支払条件は、「就業不能状態になったとき」とされていることが一般的です。就業不能状態とは、「働くことができない状態」を指していますが、それは具体的にどのようなものなのでしょうか。

その定義は保険会社や保険商品によってバラツキがありますが、基本的には次のようになっているものが多いようです。

■就業不能状態の定義

    ・病気やケガの治療を目的として、病院もしくは診療所で入院している状態

    ・病気やケガにより、医師の指示のもと在宅療養で治療に専念している状態

逆に就業不能状態に当たったとしても、保険金の支払いを受け取ることができないケースとしては、以下のようなものが代表的です。

■就業不能状態になっても保険金を受け取れないケース

    ・うつ病など精神疾患を原因とした就業不能状態

    ・むちうち症や一種の腰痛など、本人が症状を訴えていても、その医学的根拠による裏付けが乏しい病気及びケガを原因とする就業不能状態

    ・自殺行為、犯罪行為、薬物依存、泥酔などを原因とする就業不能状態

    ・免責期間を始めとした所定の支払対象外期間中の就業不能状態

なお、支払いがされないケースもまた、保険会社や保険商品により異なるので、加入時に必ず気を配りたいポイントです。


3.就業不能保険と他の保険との違い

前節までは就業不能保険の基本的な保障内容について見てきました。ですが、それに目を通して「病気やケガの保障なら医療保険があるのでは?」「収入保障保険や所得保障保険とは一体なにが違うの?」といった疑問を拭いきれない方もいらっしゃるように思います。

そこでこの章では、就業不能保険と、医療保険、収入保障保険・所得補償保険との比較を通して、その違いを明らかにしていくことで、より就業不能保険の輪郭を際立たせることを試みたいと思います。

3-1 就業不能保険は医療保険では保障の対象にならない「長期療養」が保障される!

基本的に医療保険は「病気やケガにより入院・手術をしたときの短期的な治療費」に備える保険ですが、それに対して就業不能保険は「病気やケガにより働けなくなったときの長期的な生活費」に備える保険です。

もしも、病気やケガで入院・手術をした場合、医療保険に加入していれば保障を受けることができます。その保障さえあれば、入院や手術で働けなくなったとしても、十分に事足りるのではないかと思われるかもしれません。

ですが多くの場合、医療保険では、入院した際の保障限度日数は1回の入院につき60日~120日に設定されていますし、保障の給付条件は入院・手術のときのみです。つまり、長期間にわたる入院や在宅療養で働くことができない場合、その治療費や収入減を医療保険のみでカバーすることは難しいのです。

就業不能保険の特徴の1つは、そのような長期的な入院や療養によって働けなくなったときに、しっかり備えることができる点だと言えます。

3-2 収入保障保険や所得補償保険との違いは?

名前が似ているので、就業不能保険、収入保障保険、所得補償保険を同じような保険だと考えている方も多いかも知れません。たしかに「保険金の受け取り方が毎月の給与のような形になっていること」は共通しているとはいえ、この3つの保険は明確に別のものです。それぞれの違いを見ていきましょう。

まず収入保障保険と、所得補償保険および就業不能保険は、保険の目的に応じて切り分けることができます。

収入保障保険が「死亡もしくは高度障害状態になった場合、残された家族の生活を支えるための死亡保険」であるのに対して、所得補償保険・就業不能保険は「病気やケガで働けなくなった場合、その間の収入減を補填するための保険」です。その意味では、収入保障保険は、所得補償保険や就業不能保険よりも、死亡保険に近いジャンルの保険だと整理できます。

では、次に所得補償保険と就業不能保険は何が異なるのでしょうか? 所得補償保険と就業不能保険は、保険の目的や給与のような保険金の受け取り方は同じだと言えますが、その相違点としては保険期間と保障(補償)の支払期間が挙げられます。

所得補償保険は主に損害保険会社が販売している商品で、保険期間は1年~5年更新、補償の支払い期間は1年~3年です。それに対して就業不能保険は、保険期間は50歳~70歳満期、保障の支払い期間は満期までと長期にわたって続きます。

働けなくなったときに、満期まで保険料が上がる心配がなく、長期間にわたって保障を受け続けることができるのは就業不能保険の大きな魅力の1つだと言えるでしょう。

保険会社や保険商品によって違いはありますが、一般的な就業不能保険、収入保障保険、所得補償保険の違いをまとめると、次のようになります。

■就業不能保険

    支払い条件:被保険者が病気やケガによって働けなくなった場合

    保険金額:10~50万円の間で5万円ごとに設計可能など(収入による上限あり)

    保険期間:50歳~70歳

    保障の支払い期間:保険期間満了まで

    受取方法:毎月一定の保険金が保険期間の満了まで支給される

■収入保障保険

    支払い条件:被保険者の死亡もしくは高度障害状態

    保険金額:加入時に自由に設計可能

    保険期間:50歳~70歳

    保障の支払い期間:保険期間満了まで

    受取方法:毎月一定の保険金が保険期間満了まで支給される

■所得補償保険

    支払い条件:被保険者が病気やケガによって働けなくなった場合

    保険金額:収入の60%前後

    保険期間:1年~5年更新

    補償の支払い期間:1年~3年

    受取方法:毎月一定の保険金が1年~3年の間、支給される


4.就業不能保険の必要な人/不必要な人

これまで「病気やケガで働けなくなったときのリスク」と「就業不能保険の保障内容」について見てきました。最後にそれらを踏まえたうえで、就業不能保険が必要な人と、不必要な人の特徴をまとめました。自身に就業不能保険が必要かどうかを考えてみるうえでの1つの参考にしてみてください。

■就業不能保険が必要な人

    ・病気やケガで働けなくなったときの治療費などの支出増や収入減に対して対策ができていない方

    ・病気やケガで働けなくなり支出増や収入減に見舞われたとしてもそれまでの生活水準を維持したい方

    ・働けなくなったときに会社員ほど公的社会保険制度から手厚い保障を受けられない自営業の方

■就業不能保険が不必要な人

    ・既に貯蓄などで病気やケガで働けなくなったときの費用の準備ができている方

    ・働けなくなったときに生活水準が落ちても仕方がないと思える方


まとめ:就業不能保険とは

いかがでしたか? ここまで

    ・働けなくなったときに「支出増」と「収入減」といったリスクに備えるのが就業不能保険

    ・就業不能保険は、医療保険や収入保障保険、所得補償保険と似ているようで全然違う

    ・就業不能保険が必要なのは主に「働けなくなったときの支出増や収入減が心配な方」「働けなくなったときの公的な手当てが手薄い自営業の方」

といったことについてお話してきました。

とはいえ、ここでお話したことは就業不能保険に関することのごく一部に過ぎません。実際に就業不能保険を検討するとなれば、それぞれの年収や家族構成、ライフプランなどを踏まえてより総合的に考えなければなりません。特に就業不能保険の場合、医療保険や死亡保険と比べると知名度は高くない保険なので、情報収集するのも一苦労です。

「就業不能保険には興味があるけど、ちょっと自分で調べたり検討したりするのは大変そう……」

そのように思われた方は一度、プロに相談してみるのも良いかもしれません。保険見直し本舗も、そんな悩みを抱えた皆さんの保険選びのお手伝いをいたします。

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