近年、子供の学費の高額化などの経済的理由や、女性の社会進出などにより、二人の収入で生活を支えていく共働き夫婦が増えています。今では、片働き夫婦(専業主婦/専業主夫)よりも、共働き夫婦のほうが一般的な家庭の形だと言えそうです。
従来の片働き夫婦は、夫が仕事をして一手に収入を担い、妻が家事に専念して家を守るといった形で役割分担をしていました。それに対して、共働き夫婦は、どちらも仕事をし、収入を得ているのが特徴です。
このような共働き夫婦の特徴が、保険で備えるべき保障内容にも影響を与えることは想像しやすいと思います。ですが、「共働き夫婦に必要な保険とは何か?」と改めて問われると、すぐに答えられる方は少ないのではないでしょうか?
そこで、ここでは共働き夫婦に必要な保険について分かりやすくコンパクトに解説していきます。
1.医療保険・就業不能保険
最初に共働き夫婦が考えるべき保険としては、「医療保険」と「就業不能保険」が挙げられます。
共働き夫婦の場合、どちらが病気やケガをして働けなくなったとしても、入院費や手術代といった治療費がかかるうえに、働けない期間分の世帯収入も減少してしまいます。総務省の『家計調査年報(家計収支編)2020年』によると、二人以上の勤労者世帯の場合、月々の支出は305,811円という結果になっています。
もし夫婦のどちらかが病気やケガにより働けなくなったときに、そのパートナーが自身の収入のみで月約31万円の支出に加えて「治療費の出費」までカバーしていくのは、かなり困難ではないでしょうか。そのような病気やケガによる「治療費の出費」「仕事の収入減」といったリスクに備えるのが、それぞれ医療保険と就業不能保険なのです。
1-1 治療費の出費の備えには「医療保険」を
医療保険は、病気やケガで入院・手術をした際の治療費をカバーするための保険です。保障内容は、入院1日につき5,000円~10,000円といった入院給付金、手術1回につき50,000円~100,000円といった手術給付金が中心になっています。
現在の医療保険は、入院給付金や手術給付金にくわえて、最先端の技術を用いた先進医療を受けたり、三大疾病(がん・脳血管疾患・心疾患)といった大病を患ったりしたときに、手厚い保障を受けられる特約を付加できるものがほとんどです。
『令和元年度 生活保障に関する調査』(生命保険文化センター)によれば、万が一入院した場合の負担は1日につき平均23,300円。もちろん、そのすべてを医療保険でまかなう必要はありませんが、治療費の出費による家計への影響を考えて、しっかりと医療保険は用意しておきたいところです。
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1-2 仕事の収入減の備えには「就業不能保険」を
就業不能保険(所得保障保険)は、病気やケガにより働くことができなくなったときの収入減に備える保険です。保障内容は、病気やケガで長期的に働くことができなくなった際に、給料のような形で毎月一度、給付金を受け取れるものが一般的です。
病気やケガで入院や在宅療養をした場合、体の状況によっては長期間にわたり働けなくなる可能性も考えられます。その場合、会社員や公務員であれば通算1年半まで給料の約2/3にあたる傷病手当金を受け取れますし、もし医療保険に加入していればおよそ数か月~1年程度の入院には対応できるかもしれません。
ですが、もしそれ以上に働けない期間が長引いたとしたら、健康保険や医療保険だけではその間の収入減への備えにはなりません。
そこで就業不能保険は、長期的に病気やケガで働けなくなった際の収入減をカバーするために、働けない状態が続く限り保障期間満了(60歳、65歳など)まで、毎月給付金を受け取れるようになっています。
共働き夫婦の場合、夫婦ともに収入を担っており、どちらが病気やケガで働けなくなったとしても、収入減による家計へのダメージは避けられません。その収入減に備えて、夫婦ともに就業不能保険を用意しておけば、ひとまず安心と言えそうです。
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2.死亡保険
続いて共働き夫婦が考えるべき保険は「死亡保険」。死亡保険は、もしも万が一のことがあった場合に、残された家族の生活を支えたり、葬祭費用を残したりするための保険です。
保障内容は、あらかじめ受取人に指定されていた家族が保険金としてまとまったお金を受け取れるというものです。一般的に共働き夫婦の死亡保険は最低限のものを用意しておけば十分と言われていますが、家庭の事情によってはそうとも言い切れないところがあります。
ここでは、共働き夫婦を「夫婦ともに自活できる収入がある家庭」「夫婦で収入差がある家庭」「子供がいる家庭」の三つのパターンに分けて、それぞれの死亡保険の考え方について見ていきましょう。
2-1 夫婦ともに自活できる収入がある家庭は最低限の死亡保険でOK
共働き夫婦の場合、夫婦ともに仕事をして収入を得ています。
もしお互いに、パートナーに万が一のことがあったとしても、生活に困らないだけの収入があるのなら、大きな死亡保険は必要ありません。万が一のとき、お互いに負担をかけないよう、お墓代や葬儀代といった最低限の葬祭費用として夫婦ともに200万円~500万円程度の死亡保険を準備しておけば基本的には十分でしょう。
2-2 収入差がある家庭は主たる収入の担い手には手厚い死亡保険を
共働き夫婦でも、夫婦間で大きな収入差があり、パートナーに万が一のことがあると、残された家族が生活に困ってしまうケースも考えられます。
たとえば、もともと会社員や公務員として働いていた妻が、結婚を機にパート・アルバイトに働き方を変えた場合などが該当します。夫婦間で大きな収入差があるのなら、主たる収入の担い手の万が一に備え、その死亡保険は残された家族の生活費用も計算に入れた手厚いものを用意しておいたほうが安心です。
2-3 子供がいる家庭は夫婦ともに手厚い死亡保険を
子供がいる共働き夫婦の場合、死亡保険は手厚く準備する必要があるでしょう。
『平成30年度 子供の学習費調査』によれば、子供が幼稚園に入園し高校を卒業するまでの間にかかる教育費用は約540万円~1,830万円とされており、家計に大きな負担がかかります。共働き夫婦とはいえ、パートナーに万が一のことがあった場合、これだけの子供の教育費用を一人の収入で支えていくのはかなり大変そうです。
また親心として、経済的な困難を理由に子供のやりたい事や将来の夢を諦めさせたり、大変な思いをさせたりするのは避けたいところでしょう。
ですので、子供がいる共働き夫婦であれば、子供が自立するまでの間は、夫婦のどちらに万が一のことがあったとしても、子供の生活費や教育費用をまかなえるだけの手厚い死亡保険を用意しておくのが望ましいと言えます。
⇒死亡保険とは一体?? 死亡保険の基本を分かりやすく徹底解説!!
まとめ:共働き夫婦に必要なのは医療保険・就業不能保険。死亡保険は家庭の状況に応じて検討を!
いかがでしたか? ここでは、共働き夫婦が必要な保険として、
・「治療費の備え」に医療保険、「仕事の収入減の備え」に就業不能保険
・お互いに自活ができるだけの収入を得ている夫婦には最低限の死亡保険
・夫婦間で収入差がある場合、主に収入を支えているパートナーには手厚い死亡保険
・子供がいる家庭の場合、夫婦ともに手厚い死亡保険
などをご紹介しました。
ですが、ここでお話した事は、共働きの夫婦の保険を考えるときの基本でしかありません。実際に保険を選ぶときには、そのほかにも、年齢、職業、健康状態、家族構成、ライフプランといった多くの要素を考慮する必要があります。
さらに、それらを一つ一つ整理したうえで、総合的に検討し、数ある保険の中から自分に適したものを絞り込むのは大変な作業です。とくに多忙な共働きのご夫婦であれば尚更でしょう。
「いろいろ考えなくてはいけないのか……。難しそうだな……」と少しでも思われた方は一度プロの助言を聞くのも良いかもしれません。
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