女性保険の選び方は保障期間、保険金タイプ、保障内容の検証が大事

保険の基礎知識

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女性保険の選び方は保障期間、保険金タイプ、保障内容の検証が大事

新しい命を育む、女性の体はとてもデリケートなもの。

乳がんや子宮がん、出産時の異常分娩など女性特有のリスクもあり、男性とは違ったケアや備えが必要とされます。女性保険は女性特有の病気や女性がかかりやすい病気を特に手厚く保障する保険。万が一の時の金銭的負担を軽減し、生活を支えてくれる頼もしい存在です。

しかし、どんな特効薬でも万病に効くわけではないように、どんな保険でも万人にとってよいというものはありません。保険は1人ひとりの状況に合わせて、自分が必要なものを選ぶもの。女性保険もそのメリットを最大限に活かすなら、自分のニーズに一番応えてくれるものを選ぶ必要があります。

ただ困ったことに、保険の説明はパッと読んだだけではその違いが分かりにくいことがほとんど。読んでいるうちに専門用語が登場して分からなくなってしまい、「結局どう違うの?」「何を比べればいいの!?」と、思わず叫びたくなった人もいるのではないでしょうか。

女性保険は、基本的に「医療保険+女性疾病特約(女性の特有の病気等には厚い保障をする特約)」がセットになったものなので、構造や比較する際のチェックポイントはおおむね通常の医療保険と同じです。ここでは、比較の際に重要となる3つのポイントについて、例を挙げながら説明していきたいと思います。

まとめ. 保障が重なっている部分がないか確認を

ポイント1:保障が必要な期間を考える

1-1 目的によって変わる「保障が必要な期間の長さ」

では、いきなり大きな質問になりますが、保険に入るのは何のためでしょうか?

それはもちろん将来のリスクに備えるためです。女性保険ならば「妊娠・出産時のリスクが心配だから」「万一女性特有のがんになった時に備えておきたいから」「女性特有のリスクと通常の病気・怪我のリスク、どちらも気になるから」などの理由で、保険への加入を考えている方が多いのではないかと思います。

妊娠・出産は多くの場合20代後半~30代後半に多いのに対し、女性特有のがんのリスクが一番高まるのは40代~50代なので、何を目的とするのかによって保障が必要な期間も当然変わります。

そんな細かいニーズに応えるために、女性保険でも予め保障期間が決まっている「定期型」と、一生保障が続く「終身型」という2種類の商品があり、定期型の中にも1年更新、10年もの、15年もの、80歳になるまでのものなど、さまざまな期間のものが揃っています。

まずはこの「保障の必要な期間」を考えるのが、自分に合った保険選びの最初のステップになります。

1-2 期間限定の「定期型」はサブ保険向け

期間限定の「定期型」には次のような特徴があります。

    ・期間は1年更新、10年、15年、80歳までなどさまざま
    ・予め定められた期間が来れば契約は終了。継続する場合は更新が必要になる
    ・更新後の保険料は、更新時点での年齢・保険料率により新しく決まる(年齢が上がると保険料は高くなる)
    ・保険料の払い込み期間は保障期間と同じ
    ・保険に加入できる年齢が決まっている(60歳までなど)
    ・同程度の保障内容の終身型に比べて保険料は安めの場合が多い

メリットは何より、同程度の終身型保険に比べて保険料が安いところで、メインの保険は別にあるけれど期間限定で手厚い保障がほしい時などに向いている商品です。

一方デメリットとしては、更新するたびに保険料が上がってしまうこと。なので、最初から期間はきっちり決めておいたほうがいいでしょう。

●この保険に向いている人
妊娠・出産時に何かトラブルが起きて、出産費用が増えたり入院期間が長くなることが心配な人は、1年更新タイプに1~2年だけ入るのがおすすめです。

また40~50代の養育費がかかる時期にがんを発症し、医療費がたくさんかかってしまうリスクをカバーしたいならば、40~55歳の15年定期タイプに加入するという使い方もできます。

1-3 「終身型」はメインの保険向け

一方、一生涯保障が続く「終身型」には次のような特徴があります。

    ・保険期間は一生涯
    ・保険料の払込期間は保障期間と同じ(一生涯)、60歳まで、65歳までなど数タイプある
    ・保険料は一生固定(値上がりなし)
    ・同程度の保障内容の定期型保険に比べ、保険料は高いことが多い

メリットは、当たり前ですが一生涯保障が受けられることと、保険料が一生変わらないこと。若いうちに加入すれば、安い保険料で一生涯保障を受け続けることができます。

デメリットとしては、途中で見直しが難しく、物価の変動や生活の変化に対応しにくいことが挙げられます。

●この保険に向いている人
20代頃は若年層に増えている子宮がんや卵巣がん、20~30代は出産・妊娠、40~50代は発症率が上昇する乳がんなど女性特有のがん、60代以降は一般の病気と、人生のそれぞれのステージにおけるリスクにしっかり備えておきたい人、一生涯にわたって保障を受けたい人に向いています。

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ポイント2:解約払戻金は必要か?を検討

2-1 終身型にはさらに2つの種類がある

保険期間の長さが決まり、定期型を選んだ場合には、あとは保障の内容を検討するだけです。しかし終身型を選んだ場合には、さらに保険の性格によって「払戻金」があるタイプとないタイプの2つに分かれているので、これを考える必要があります。

「払戻金」というのは、保険を解約した時に戻ってくるお金のことで、これがある保険は「貯蓄」タイプ、ない保険は「掛け捨て」タイプと呼ばれます。保障期間が一生涯の終身型保険にはどちらのタイプも存在しますが、定期型の保険はほとんどの場合掛け捨て型なので、タイプを考える必要はないというわけです。

これだけだと、「そんなのお金が戻ってくる貯蓄タイプの方がいいに決まっている」ということになってしまいますが、掛け捨て型の方が月々の保険料が低めに設定されているなど、両者共に一長一短があります。

2-2 女性保険に貯蓄型は少ない?

まず、貯蓄型の生命保険は、途中で解約すればそれまでに払い込んだ金額に応じた払戻金が、払込期間が終了した後に解約すれば予め定められた払戻金が受けられるのが基本です。学資保険や個人年金などに限っていうと、商品によっては払込期間満了後の解約の場合に払い込んだ金額以上の払戻金を受け取れるものもあります。

しかし、女性保険の場合はこれらとまるで同じというわけではありません。

というのも、貯蓄型の保険には「貯蓄」と「万が一の時の備え」の両方の側面があるのですが、学資保険や個人年金が「貯蓄」の要素が強く、万が一の時の備えの要素が弱い商品であるのに対し、女性保険は圧倒的に「万が一の時の備え」の要素が強い商品です。

同じ学資保険でも、子どもの怪我や病気に対する入院保障が手厚いものほど払戻金が少なくなるのと同じで、女性保険のほとんどの商品では、保険料払込期間中に解約した場合の払戻金はなしか、あるいは払い込んだ保険料の総額よりもかなり少ない金額になってしまいます。

したがって、保険料の払込期間として保障期間と同じ「一生涯」を選んでいる場合、解約により支払った保険料以上の払い戻しを受けられる可能性はほとんどないことに注意が必要です。

一方、例えば保険料の払込期間を60歳までに設定して、すでに払い込みを終えているような場合には、払戻金は支払われます。その金額は商品ごとにさまざまですが、契約規定の入院給付金日額×10~30倍で設定されていることが多いです。

●貯蓄型に向いている人
貯蓄タイプの一番のメリットは保険料を支払うことで、万が一の備えと貯蓄が同時にできることです。

しかし、女性保険の場合は払戻金を受け取るためには、保険料支払期間を60歳まで、または65歳まで、などとする短期コースを選んだ上で保険料を払い込んでおくことが必要です。これは、若いうちから毎月の保険料が上がってしまうために、なかなかハードルが高いといえます。

ただ平均余命まで生きるとすれば、全体としては支払う保険料はかなり安くなり、老後に保険料の支払いをしなくても済むという大きなメリットもあるので、月々の保険料の支払いに余裕がある場合は検討してみてもよいでしょう。

2-3 保険料を抑えたい人は掛け捨て型がおすすめ

貯蓄タイプに対し、掛け捨てタイプは一度振り込んだ保険料は戻ってこないのが特徴で、「万が一の備え」に特科した商品です。

先ほどお話した通り、女性保険(終身型)はこちらの仕組みの方が多く、定期型も多くが掛け捨てタイプとなっています。払戻金はありませんが、その代わりに毎月の保険料は安く設定されているので、充実した保障は受けたいけれど月々の保険料はなるべく低く抑えたい、という人に向いています。


ポイント3:保障内容を比較する

3-1 保障内容はここに注目

必要な保障期間が決まり、貯蓄型にするか掛け捨て型にするかも決まったら、同じ期間・支払い方法の商品をピックアップして、いよいよ保障の中身を検討する段階です。さまざまな要素がありますが、おおよそ次のような所に注意して見比べ、自分が必要とする保障はどの程度なのかをチェックしてください。

●入院給付金の日額と条件
ほとんどの女性保険は「一般の病気や怪我で入院した時の日額給付金」と「女性特有の病気等で入院した際の日額保証上乗せ給付金」、「手術を受けた時の手術給付金」の3つが保障の基本になっています(数は少ないながら「女性特有の病気等」のみを対象とし、一般の医療保険を含まない女性保険の場合には、一般の病気・怪我では給付金が支払われない商品もあります)。

1つの商品に対し、一般の病気や怪我に対する日額給付金の額を基準におおよそ5,000~1万5,000円の範囲でいくつかのコースが設定されているものが多くみられます。

また、入院時の日額給付金が支払われる条件もチェックするのを忘れずに。商品によって給付の対象に短期入院を含むか否か、日帰り手術を含むか否かなどの違いがあり、また1入院につき何日まで給付が受けられるのかという最大給付期間も、おおよそ30~180日の間でさまざまな設定がなされています。

●手厚い保障が受けられる「女性特有の病気等」の範囲
女性保険は基本的に、「医療保険+女性特有の病気等については上乗せして手厚い保障をする特約」という仕組みになっていますが、この「女性特有の病気等」の範囲は、保険会社によって少しずつ違うので注意が必要です。

どの保険会社でもカバーしているものには、乳がんや子宮がん、卵巣がんなど女性特有のがん、子宮筋腫、子宮内膜症などの女性器の代表的な病気、帝王切開、吸引分娩などの異常分娩があげられます。

一方、女性に多い病気である甲状腺障害や関節リウマチ、膀胱炎などは、商品によってカバーする範囲が異なります。

女性保険でカバーされるもの

ほぼすべての商品でカバーされている ・女性特有のがん(乳がんや子宮がん、卵巣がんなど)
・女性器の代表的な病気(子宮筋腫、子宮内膜症など)
・異常分娩(帝王切開、吸引分娩など)
商品によってカバーの範囲が違う ・甲状腺障害や関節リウマチ、膀胱炎など

また出産については、自然に陣痛が始まり・出産に至る「自然分娩」は病気ではないので、通常保障の対象とはなりません。しかし、一部の商品では自然分娩でも保険金が受けとれるものもあります。

●先進医療保障の有無
先進医療を受けたときに給付金が支払われるか否かも、商品を比べる時の1つのポイントです。

先進医療とは、大学病院や大病院などで研究・開発された医療技術で、臨床を繰り返しその安全性・治療効果は十分に確保されているものの、公的保険の対象とするかはまだ検討中の医療法のことです。放射線治療の一種の重粒子線治療や陽子線治療など、2022年4月1日現在で84種類あります。

公的保険の対象とはならないため、治療費は患者の全額自己負担になるので、先進医療による治療を望む場合にはぜひつけておきたいものになります。

●特定疾病やがんの取り扱い
女性保険では、女性特有の病気等の場合だけ給付金が上乗せされて支給されるのが基本です。しかし、中にはその手厚い保障の範囲を特定の疾病にも拡大したり(疾病特約付き)、女性特有のがん以外の、一般の消化器系・循環器系のがんにも拡大している商品もあります(がん特約付き)。

急性心筋梗塞、脳卒中とあわせ、「三大疾病」を厚く保障するような組み合わせタイプも存在します。これらも1商品の中で「スタンダードコース」と「安心コース」のように、複数のコースが設けられていることが多いです。

入院給付金日額のイメージ

一般の病気
(脳卒中など)
女性特有の病気
(乳がんなど)
一般のがん(女性特有のがん以外)
(胃がんなど)
基本プラン 5,000円 10,000円 5,000円
疾病特約付き 10,000円 10,000円 10,000円
がん特約付き 5,000円 10,000円 10,000円
※基本の入院給付金日額を5,000円、手厚い保障の上乗せ分を5,000円とした場合のイメージ

●死亡保障の有無
商品の中には死亡保障が付いているものもあります。共稼ぎや専業主婦の場合、死亡保障が必要か否かは、家族の構成や家計の状態などによりケースバイケースですが、女性保険の加入者本人が家計を支えているような場合には、ぜひ付けておきたい特約です。

●妊娠時に加入できるかどうか
妊娠・出産への備えとして利用する場合には、とても重要な項目です。基本的には、妊娠中の加入はできなかったり、保障範囲に制限が付く(具体的には、異常分娩でも給付金が下りないなど)ことが多いですが、条件が緩和されている商品もあります。

3-2 大事なのは保険料とのバランス

このようなポイントを比べる時に基準にしたいのが、保障内容と月々の保険料のバランスです。保障が厚ければ安心感は大きいですが、当然、その分保険料は上がります。保険を優先して、家計のほかの部分に影響が出てしまっては本末転倒です。

医療費は公的保険でまかなえる部分もかなりありますし、オプション次第で保険料もだいぶ変わってくるので、本当に必要なものだけを付けるようにするのが非常に大切なことです。


まとめ:保障が重なっている部分がないか確認を

ここでは、

    ・まずは保障の必要な期間から考えるとよいこと
    ・女性保険には期間限定の「定期型」と、一生保障が続く「終身型」があること
    ・定期型は出産やがんにかかりやすい年代をフォローするサブの保険、終身型はメインの保険に使うとよいこと
    ・女性保険には貯蓄の機能は少なく、払戻金を受け取るにはハードルが高めであること
    ・保険料を抑えたい場合は、掛け捨てタイプの保険を選ぶとよいこと
    ・保険を比べる時は、入院給付金の日額と条件を基本にするとよいこと
    ・先進医療やがんなどでも手厚い保障を受けられる商品もあること
    ・保険料と保障内容のバランスが大切であること

などについてお話してきました。

繰り返しになりますが、女性保険は基本的に、医療保険の保障に女性特有の病気等への保障が上乗せされた商品。「すでに医療保険に入っているけれど妊娠・出産に備えたい」、「すでにがん保険に入っているけれど、乳がんなど女性特有のがんに備えたい」などの理由から新たに女性保険に加入した場合は、もともと入っている保険と保障内容が重複する場合があります。

保障が手厚くなるのはよいことですが、そのために保険料が増えてしまうのは困りもの。メイン保険・サブ保険など、使い方を問わず、ほかの保険と重なっている部分がないかを一度チェックして、比較検討してみてください。

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