死亡保険(生命保険)への加入を具体的に検討する段階になると、「あまりいろんな保険商品がありすぎる。いったいどれを選んだらいいのだろう?」「具体的な保険商品をどんな基準で比較したらいいか?」などということが気になってきます。
死亡保険(生命保険)は、万一の際の保険金も大きい半面、支払保険料の家計への負担も小さくありません。過剰な保障を避け、ニーズに適切な保険を選ぶことによって、保険料をムダなく節約することも大切でしょう。
死亡保険(生命保険)の選び方についてはいろいろな考え方がありますが、一般的な選び方としておよそ下記のような流れをご理解いただき、個別の事情やご要望がある方は、保険見直し本舗の専門スタッフにご相談いただければ、お一人おひとりに最適な保険商品がご提案できると思います。
1. 適正な保険金額を算出する
1-1 死亡保険(生命保険)の保障額は自分で決定できる
本題に入る前に、少しだけ用語の説明をさせていただきます。
冒頭から「死亡保険(生命保険)」という書き方をしていますが、「生命保険」という言葉には、広義には「人の生命・健康などのリスクに備えるさまざまな保険」という意味があり、狭義では死亡保険と同じ意味で使われています。
ここでは混乱を避けるため、以降、狭義の生命保険は「死亡保険」という語に統一し、「生命保険」という場合は広義の生命保険を指すこととします。詳しくは別の記事でも解説していますので、そちらを御覧ください。
⇒生命保険? 死亡保険? わかりにくい死亡保険(生命保険)の基本
さて、生命保険には死亡保険のほかに医療保険、養老保険、学資保険などさまざまなものがあります。
たとえば医療保険の場合は、ケガや病気の際に必要になる出費への備えですから、実際の医療費や差額ベッド代、そのほかの雑費などの相場を知っておき、それに合わせた給付金が受け取れる保険商品を選ぶ必要があります。
しかし、死亡保険の場合、「世帯の大黒柱に万一のことがあった際、どれだけのお金が必要か?」は残された家族の状況や考え方によっても大きくふ左右されます。もし「夫が亡くなっても、妻に経済力があり、それほど大きな保険金がなくても家族の生活を支えられる」という状況であれば、比較的死亡保険金が少額で、その分保険料も安い死亡保険に加入するという選択肢が考えられます。
一方で、これと同じ状況でも「確かに妻にも経済力はあるが、子どもには十分な学資を用意してあげたいし、妻にも大変な思いをさせたくない。やはり保険金は、子どもが大人になるまでの学資や家族の生活費が十分まかなえる額に設定したい」とお考えになる方もいらっしゃるでしょう。
これはどちらが正しいというようなものではなく、ご本人・ご家庭の価値観や考え方によるものが大きいと思われます。このため、死亡保険の保障額では「相場」というものはあまり意味がなく、ご本人・ご家族の意思によって自由に決定できる要素が大きくなっています。
1-2 「本当に必要なお金」とは?
死亡保険の保障額は上記のように自由に決定できる要素が大きいのですが、そうはいっても大黒柱に万一のことがあった場合に、必要最小限のお金(必要保障額)だけでも保険金でまかなう必要があります。
必要保障額は、基本的には次のような考え方で概算できます。
【必要となるお金】
A.「大黒柱の生死に関係なく必要なお金」
家族の生活費、住居費、教育費、結婚資金(お子さんが適齢期の場合)など
B.「死亡にともなって必要となるお金」
死後整理資金、生活立て直し資金、葬儀費用、葬儀関連費用、法事関連費用、相続税など
C.「負債」
被保険者個人の負債、世帯単位の借入金など
【その原資となるお金】
D.「貯蓄」
E.「処分可能な資産」
動産・不動産など
F.「遺族年金」など
国民年金に加入している場合、本人が亡くなると配偶者やお子さんに対して国民年金から遺族基礎年金が支給されます。また会社員の場合はそれにプラスして、厚生年金からも遺族厚生年金が支給されます。さらに、勤務している会社独自の福利厚生制度により年金や一時金が支給される場合もあるでしょう。
死亡保障における必要保障額のめやすは、A~Cの合計額(出ていくお金)からD~Fの合計額(使えるお金)を差し引いて、さらに緊急予備資金を加えた額となります。
なお、個人の負債で最大のものといえば住宅ローンが想定されますが、住宅ローンに関しては、ローン借り入れの際に団体信用生命保険への加入が義務付けられています。団体信用生命保険とは、住宅ローンを借りた人(債務者)が死亡したり高度障害状態になったりした場合、債務者に代わって住宅ローンの残りを一括返済してくれるという死亡保険です(保険金の受取人は住宅ローンを借りた金融機関になっています)。
団体信用生命保険によって住宅ローンの負担はなくなり、マイホームはそのまま家族に残されることになりますから、死亡保障における必要保障額には住宅ローンを考慮する必要はありません。
ただし住宅ローンという名目以外での借り入れでマイホームを購入し、団体信用生命保険に加入していない場合には、その返済原資を死亡保障における必要保障額に盛り込んでおく必要があります。
1-3 生涯賃金を推計してみる
死亡保険による保障額をいくらぐらいに設定するかは、上記のような必要保障額から算出する方法のほか、「自分(保険に加入する人)がリタイヤするまでの生涯賃金」を推計してみるという方法も有効です。
もちろん正確な推計はできませんが、昇進・昇給などの予測も織り込み、「だいたいこのくらいだろう」という金額を見積もってみましょう。
死亡保険は本来、「生きていて、元気に働ければこれくらい稼げただろう」というお金を保障するためのものです。必要保障額を試算するときに「あれも必要、これも必要」と金額を積み上げていくと、非常に高額な死亡保険に加入しなくてはならないことになります。
しかし「実際に稼げるであろうお金」がどれくらいかを把握しておけば、試算した必要保障額が適正かどうかが、それとの比較で判断できるのではないでしょうか。
2. 貯蓄・保険料の計画的な設定
2-1 ライフサイクル表をつくる
ライフサイクル表とは、家族のこれからの人生における主要な出来事・変化を段階的に書きだした一覧表のことです。ライフサイクル表により、「どんなお金が」「いつ頃からいつ頃までに」「いくらくらい必要か?」といったことを視覚的に把握することができます。
ライフサイクル表を見ながら、「この時期には子どもたちの学資がかさむから、貯蓄や保険料に回せる余裕は少ないな」「この時期になると子どもも独立し、親への経済的な依存度もさがるだろう。老後資金の準備に注力しなくてはいけないな」など、年代ごとの世帯の収支状況や資金計画が立てやすくなります。
こうすることで、「子育て期はどうしても十分な貯蓄ができないから、保険を手厚くして万一に備えよう」「今は家計に余裕があるから大型の保険でも加入できるが、この時期には出費がかさむから、無理なく支払える保険料は月額○万円程度だろう」など、長期的な保険とのつきあい方の方向性が見えてくるのではないでしょうか。
2-2 支払保険料の上限額を想定する
ライフサイクル表をベースに、年代ごとに貯蓄額と保険料のバランスをとり、支払保険料の上限額を想定します。
終身保険の場合は、いったん加入すると、保険料は原則として生涯変化しません。だからこそ、終身保険にはできるだけ若いうちに加入しておいたほうが、月額保険料を低く抑えることができ、家計への影響も最小限にとどめることができます。
また、保険加入時には基本保障に各種の特約を付加することもできます。現在の死亡保険は基本保障+特約の組み合わせで、自分のニーズにふさわしい保険のカスタマイズができるものが主流です。これらの特約も、支払保険料の増減や必要度などを勘案し、慎重に取捨選択しなくてはなりません。
とはいえ、「子育て期だけ小型の定期保険にも加入して、保障を上積みする」「○歳になったら終身保険を見直す」などのコントロールは可能です。
いくらライフサイクル表を作成しても、長い人生の間には予期せぬ世帯状況の変化があるかもしれません。保険の選び方は慎重であるに越したことはありませんが、一定期間ごとに状況に応じた見直しをすることを前提としておきましょう。
2-3 貯蓄もまた重要
死亡保険には、貯蓄性があるもの(終身保険など)と、貯蓄性がほとんど期待できないもの(解約返戻金のない定期保険など)の2種類があります。
死亡保険は本来、加入者が死亡、または高度障害状態になった場合への備えであり、それ以外のリスクに対しては医療保険や所得補償保険などの別の保険に加入するか、または貯蓄による備えが必要となります。
また貯蓄性がある保険であっても、加入後一定期間を過ぎなくては解約返戻金が支払保険料の総額を下回る(元本割れする)リスクがあります。
さらに、保険料が割安に設定される低解約返戻金型の保険商品では、保険料の払込完了後は大きな解約返戻金が期待できますが、それ以前の解約では元本を大きく割り込んでしまうものと思われます。
「予想外の大きな出費があれば保険を解約すればいい」と貯蓄よりも死亡保険を手厚くする考え方もありますが、保険を解約してしまうと無保険状態になり、死亡保険本来のリスクへの備えを失ってしまいます。
予期せぬ出費へのリスクに対しては、保険を解約するよりも、貯蓄で備えるほうが有利です。備えに関しては貯蓄と保険の二本立てで双方のバランスをとることが重要でしょう。
なお、解約返戻金が設定されている死亡保険では、その時点での解約返戻金の一定範囲内で保険会社から貸し付けを受けられる「契約者貸付制度」が利用できます。一時的な出費であれば、せっかくの保険を解約しなくても、契約者貸付制度で対応できるかもしれません。
ただし、契約者貸付制度で借りたお金には金利がつきますし、借りたお金の元金と利息の合計が解約返戻金を上回った場合、保険契約が失効してしまいます。また、完済前に保険金が支払われた場合、死亡保険金から借入金と利息が差し引かれて支払われます。
3. 死亡保険の内容を知る
3-1 死亡保険の種類について
分類のしかたや解釈によって若干の違いはありますが、死亡保険は一般的に下記のように分類できます。
死亡保険(生命保険)の種類
タイプ | 概要 | |
定期保険 | 更新型 | 保険期間を設定し、保険期間の終了時に更新する保険 |
全期型 | 保障が必要な全期間にわたって保障が続く保険 | |
年金型 | 収入保証型保険など、保険金が年払い・月払いで支払われる保険 | |
逓減定期保険 | 契約後一定期間ごとに保険金額が減っていく(保険料は一定)保険 | |
逓増定期保険 | 契約後一定期間ごとに保険金額が増えていく(保険料は一定)保険 | |
終身保険 | 低解約返戻金型 | 保険料は安いが、保険料払込期間中に解約すると解約返戻金が少ない保険 |
定期付終身保険 | 終身保険と定期保険を組み合わせた保険 | |
有期払込終身保険 | 保険料の払い込みが一定のタイミングで終了する終身保険 | |
一時払い終身保険 | 加入時に保険料を一括で払い込んでしまう終身保険 | |
養老保険 | 普通養老保険 | 満期保険金と死亡保険金が同額の定期保険 |
定期付養老保険 | 定期保険特約が付加された養老保険 | |
特別養老保険 | 死亡保険金を満期保険金の数倍に設定した養老保険 | |
学資保険 | 教育資金を積み立て、契約者に万一のことがあった際は それ以降の保険料が免除される保険。 また、保険期間満了まで給付金が支払われるものもある | |
そのほか | 外貨建て保険 | 外貨で運用されるハイリスク・ハイリターン型の保険 |
引受基準緩和型 | 健康状態の審査基準が緩和された保険 | |
無選択型 | 健康状態に関して無審査で加入できる保険 | |
変額保険 | 保険会社の運用実績に応じて 保険金額や解約返戻金額が増減する保険 | |
アカウント型 | 保険料をアカウント(積立)部分と保障部分に振り分け、 特約が自由に付け外しできる自由度の高い保険 |
詳細は、「死亡保険(生命保険)にはどのような種類がある?」のページをご覧ください。
これら全種類を一度に把握・理解することは難しいですが、死亡保険を選ぶ際には、これらの保険商品のなかから、自分のニーズに最適なものを選択する必要があります。以下のような流れで、保険商品を具体的に絞り込んでいきましょう。
1 定期保険・終身保険・養老保険という3つの主要なグループからひとつを選択する
2 選んだグループのなかでどのタイプの保険を選ぶかを決める
3 前述した「必要保障額」「支払保険料の上限額」「貯蓄と保険のバランス」などを基準として、条件に適合する保険商品をピックアップする
とはいえ、「こんなにたくさんの種類があると、自分でニーズに合った死亡保険を絞り込むのは難しそうだ・・・」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。そのようなときには、プロの意見を聞いてみたり、人気保険ランキングを参考にしてみたりするのも方法の一つです。
保険見直し本舗では、第一線で活躍する保険のプロの無料相談サービスや、そのプロたち100以上の販売実績をもとにした人気の死亡保険ランキングがございます。ぜひ、自分に合った保険を選ぶ際にお役立てください。
3-2 最終的に加入する保険商品の選定
同じグループ・タイプの死亡保険でも、生命保険会社ごとにさまざまな特徴や強み・弱みがあります。あまり多くの保険商品を俯瞰しながら比較することは困難ですから、候補となる保険商品は数点程度にまで絞り込む必要があるでしょう。
そして、それらの各保険商品には、ほかの保険商品との差別化をはかるための特徴的な「強み」がアピールされています。その強みが自分のニーズに的確にマッチしていれば、それがあなたにふさわしい死亡保険であると考えられるでしょう。
ただし、あまりにも際立って有利なメリットがアピールされている保険商品に関しては、ほかの同グループ・タイプの保険と約款を詳細に比較し、思いがけない落とし穴(この部分は当然保障されているだろうと思い込んでいたら保障されていなかったなど)がないかを慎重にチェックしてみる必要があります。
とはいえ、死亡保険の約款を十分に読み解くには、保険に関する広範な専門知識が必要です。これまで保険の勉強をしたことがない方に、約款を詳細に理解しろといっても無理かもしれません。
そこでお役に立つのが、保険見直し本舗の専門スタッフです。前述した必要保障額、そしてライフサイクル表、最後に何点か選んだ保険商品と、それを候補にした理由。これだけをご準備いただいて保険見直し本舗にお声がけいただければ、専門スタッフが、お客様のニーズに真にふさわしい保険商品と、ふさわしいと思われる内容についてご説明させていただきます。
まとめ:死亡保険の選び方は「個人の価値観」が決め手
ここでは、一般的と思われる死亡保険の選び方についての概要をご説明してきました。
まず妥当と思われる必要保障額を算定し、貯蓄とのバランスも考えたうえで、家計から無理なく捻出できる支払保険料の上限を設定する。そしてライフサイクル表をつくり「どの時期にどんな備えが必要か」を把握したうえで、それにふさわしい保険商品を選ぶ、といったところが一連の流れです。
また、文中でご説明したように、死亡保険の選び方には、個人の価値観や考え方が大きく影響することを、もう一度確認していただければと思います。「この保険がいいから」と、あなたの価値観やご家庭の状況を知らないままで特定の死亡保険を勧められたとしても、それがあなたのニーズにふさわしいとは考えにくいからです。
死亡保険の選び方については「どの保険が得(有利)か、損(不利)か」という観点で比較されることが多いのですが、本来死亡保険とは「万一の際への備え」であり、利回りなどの利益を追求する金融商品とは性質を大きく異にします。「実現し得る、可能な限り多くのリスクに安心して備えられる」という点が死亡保険の最大のメリットであり、そこをおろそかにして損得を議論しても無意味でしょう。死亡保険選びに際しては、この点にもっとも重点を置いてご検討いただければと思います。
とはいえ、ここでは死亡保険の選び方のポイントについて一気にお伝えしてきましたが、すぐくにこれらを咀嚼し、自分の手で保険を選んでいくというのは少しハードルが高いかもしれません。
「何となくイメージは死亡保険の選び方のイメージはつかめたけれど、具体的にどのような保険が自分に合っているのかを絞り込んでいく作業は大変そうだな・・・」というように考えられた方も多いのではないでしょうか。
そのような場合、一度保険のプロの意見を参考にしてみると良いかもしれません。保険のプロに「自分のライフサイクル表はどのようになっていのか」「そのライフサイクル表にしたがえば、どのような死亡保険をどのくらいの金額で用意すれば良いのか」といった問題を整理してもらえば、自分に合った死亡保険にグッと近づけるはずです。
保険見直し本舗では、知識も経験も豊富な保険のプロが多数在籍しており、無料相談サービスを行っています。もちろん、相談したからといって必ず保険に加入しないといけない訳ではないですし、断っているのに強引に勧誘されるといったこともありません。
是非お気軽にご相談いただき、自分に合った保険選びの参考にして頂ければ幸いです。