終身保険は、死亡リスクに備えながら将来のために貯蓄ができるタイプの保険です。とはいえ、一口に終身保険といっても、さまざまな種類があったり、さまざまな保障内容を選択できたりします。いざ終身保険を検討しようと思い立っても、「正直どこから手をつけて良いのかわからない……」と悩んでしまう方も多いのではないでしょうか。
でも、実は終身保険選びには、ちょっとした“コツ”があります。それさえ押さえてしまえば、誰でもスイスイ「自分に合った終身保険」を選ぶことができるのです。具体的に注目したいポイントは以下の4つのみ。これらが定まれば、自ずとアナタに必要な終身保険の姿が浮かび上がってきます。
●何のために終身保険に加入するのか?(加入目的)
●万が一のときにどのくらいの保険金があれば良いのか?(保険金額)
●いつまでに保険料を払い込むのか?(払込期間)
●解約返戻金と返戻率はどのくらいか?(解約返戻金)
この記事では、終身保険を選ぶうえでのポイントを、どこよりも分かりやすくご紹介していきます。どうやって終身保険を選んだら良いか分からない……、自分に合う終身保険を探したい……、そんな方はこの記事で解説するポイントさえ押さえていただければ大丈夫なはずです。いろいろ参考になると思いますので、ぜひ最後までチェックしてみてください。
1.終身保険選びで意識したいポイントとは?
1-1 終身保険を選ぶときの軸は「加入目的」!
「どの終身保険を選んだら良いのかな」
そのように悩んだときに、まず初めにハッキリさせたいのが「加入目的」。なぜ自分は終身保険に加入したいのか。この点は終身保険を選んでいくうえで軸となる大切なポイントです。
終身保険は生命保険の一種です。保障内容としては、亡くなったときや重い障害を負ったときに保険金を受け取れるようになっています。また、途中で解約をしたときに、まとまった解約返戻金が支払われます。
このような特徴から、終身保険の加入目的として一般的なのは、①万が一のときに残された家族が葬祭費用などに困らないようにするための備え、②将来発生すると予想される大きな出費のための備え(子どもの学費や自分の老後の生活費など)です。
この2つのうち、どちらを目的として終身保険を検討していくかによって、保険金額はいくらに設定するのか、払込期間はいつの時点に設定するのか、といった点にも大きな違いが現れます。どのような目的で終身保険に加入したいのか。まずはこの点を明確にしたうえで、それを中心軸として終身保険を選んでいくようにしましょう。
1-2 終身保険の保険金はどのように決めれば良い?
終身保険を選ぶときには、まず「加入目的」を基本に決めていくことをお話ししました。
終身保険の保険金額の設定は、この加入目的から逆算して決めていくのがセオリーです。たとえば、万が一のときに残された家族が葬祭費用などに困らないようにすることを目的としているのであれば、その葬祭費用をカバーできるように保険金額を設定しましょう。あるいは、将来発生すると予測されるまとまった出費の備えを目的としているのであれば、それをまかなえるだけの保険金額にすべきでしょう。
とはいえ、「おおまかな方向性は理解しているけど、具体的にどのように保険金を設定したらいいのか分からない!」という方も多いと思います。そこで、ここでは、それぞれの目的に応じた保険金額の設定の仕方のポイントについて簡単にお伝えします。
先ずは「万が一のときに残された家族が葬祭費用などに困らないようにすること」を加入目的としているケースから見ていきましょう。この場合、自分に万が一のことが起こったときの葬祭費用に、終身保険から支払われる死亡保険金を充てることになります。
一般的に葬祭費用は200万円前後だと言われていますから、それに合わせて保険金額を設定すると良いでしょう。ただし、人によってはお葬式の規模が大きくなることも考えられます。そのような場合には、より保険金額は手厚くするのが得策です。
続いて、加入目的が「将来発生すると予想される大きな出費のための備え」のケースは、その費用に解約返戻金を充てることを想定し、将来の出費の金額から逆算して計算すると良いでしょう。老後の生活費のためなのか、子どもの教育費のためなのか、マイホームの購入資金のためなのかなど目的によって異なります。目的に応じて何歳まで、何年間でどのくらいの保険金が必要なのかを計算してシミュレーションしてみましょう。
1-3 終身保険の払込期間はどのように決めれば良い?
次は、保険料の払込期間についてみていきましょう。
保険料の払込期間は大きく分けて、「終身払い」「短期払い」「一時払い」の3つの種類があります。終身払いは、保険料を一生涯払い続ける方法です。短期払いは、加入してから一定の期間や年齢までに保険料を払い終える方法です。一時払いは、最初に一括ですべての保険料を払い終える方法となります。
一般的に、払込期間が長ければ長いほど1回あたりに支払う保険料の金額は小さくなります。対して、払込期間が短ければ短いほど1回あたりに支払う保険料は大きくなります。そして、払込期間が短いほうが短期間で多くの保険料が積み立てられるため、保険会社での「積立金の運用」が早く開始され、かつ運用に充てる金額が多くなり、その分、解約返戻金の返戻率が高くなります。
この払込期間を設定する際にも、終身保険の加入目的を意識して決めるようにしましょう。
貯蓄を重視したい場合、短期払いのほうが解約返戻金の返戻率が高くなり、効率的な貯蓄ができます。貯蓄の効率性を重視するのであれば、基本的にはできるだけ短い期間で払い込むことをオススメします。
保障を重視したい場合も、短期払いのほうがオススメです。払込期間が短ければ短いほど支払う保険料の総額が割安になる商品もあるため、一生涯にわたっての死亡保障が欲しくても、短い期間での払込期間を設定するのがコストパフォーマンスは良くなります。
このように、どちらの目的でも短期払いのほうがコストパフォーマンスの高い結果を得ることができます。ただし、払込期間を短くすればするほど、1回あたりに支払う保険料は高額になります。生活状況の変化などで保険料の支払いが厳しくなってしまうケースには注意が必要です。あくまでも生活に無理のない範囲で効率性を重視するスタンスを心がけましょう。
1-4 終身保険の解約返戻金はどう見れば良い?
ここまで、終身保険の加入目的・保険金・払込期間について見てきましたが、次は「解約返戻金」について着目してみてみましょう。
終身保険は、死亡保険金や高度障害保険金の代わりに解約返戻金を受け取ることが可能です。まとまった資金が必要なタイミングで終身保険を解約すれば、その解約返戻金を目的の資金に充てることができます。貯蓄を重視する方にとって、解約返戻金はできるだけ多く受け取りたいものではないでしょうか。
解約返戻金の額の大きさは、主に「返戻率」によって変わってきます。返戻率とは、払込保険料に対して、戻ってくる解約返戻金の割合のことを言い、この割合が大きくなればなるほど、受け取る解約返戻金の額も大きくなります。
返戻率は「受け取る解約返戻金÷支払った保険料×100」の計算式で求めることができます。同じ保障内容でも、返戻率は商品や保険会社によっても異なるので、契約前に一度確認して比較してみても良いでしょう。
2.子どもの学費に備えるなら、終身保険と学資保険のどちらを選べば良い?
終身保険は貯蓄できるという特徴があるため、子どもの学費の準備として使いたい方もいらっしゃるかと思います。ここで、1つの疑問が浮かぶのではないでしょうか。「子どもの学費を準備したいときは、終身保険と学資保険のどちらが良いの?」と。ここでは、終身保険と学資保険の違いを比較して、学費の準備を目的とした場合の保険の選び方をご紹介します。
学資保険とは、子どもの学費を準備することを目的とした保険です。子どもの成長に合わせて保険金が支払われるもので、入園・入学のときにはお祝い金、大学入学のときには満期保険金などを受け取ることができます。また、もし親に万が一のことがあった場合は、それ以降の保険料の支払いは免除され保障だけが継続するタイプも見られるようです。
子どもの学費が必要となる時点でまとまったお金が受け取れるという点では、終身保険も学資保険も同じになります。受け取れるお金として、解約返戻金なのか、入学祝い金や満期保険金なのかという違いはありますが、どちらも学費の準備として活用できる保険であることには変わりはありません。
ではいったい、どこの部分に大きな違いがあるのでしょうか。着目してほしいポイントは、「保険金の受け取れるタイミング」と「返戻率」の2つです。
まず1つ目の「保険金の受け取れるタイミング」。終身保険の場合は、まとまったお金が必要になったタイミングなど自分の好きな時期に解約し、解約返戻金を受け取れます。解約しなければ、返戻率は徐々に上がっていき受け取れる解約返戻金の額も大きくなるので、老後の生活費や葬祭費など学費以外の用途に転用することもできます。
対して学資保険の場合は、保険金を受け取れるタイミングが、子供にまとまったお金が必要になるタイミング(大学進学時の18歳や、大学院進学時の22歳など)に固定されているのが一般的なので、学費以外の用途には使いにくいと言えるでしょう。
このように、それぞれの保険の特徴を踏まえると、学費以外の用途でも使う可能性のある方は終身保険が良いでしょう。目的が学費と決まっていて学費が必要になるタイミングで確実にお金を受け取りたい、お金を準備しておきたい方は学資保険を中心に検討してみてもいいかもしれません。
2つ目の「返戻率」についてです。先述しましたが、返戻率とは、支払った保険料に対して受け取る解約返戻金や保険金の割合のことを言います。返戻率が高いほど受け取る解約返戻金や保険金が多くなるので、子どもの学費を効率的に貯蓄できることになります。
返戻率は、終身保険や学資保険など保険の種類で決まるものではなく、個々の保険商品ごとで異なってきます。保険種類の枠に限らず、全体的に商品を比較して返戻率の高いものを選ぶことをおすすめします。返戻率については各保険会社が提示しているので一度確認してみましょう。
3.近年話題の外貨建て終身保険! 円建てと外貨建てはどう選ぶ?
前章では、学費目的ではどう保険を選べば良いのかを紹介していきました。
次に気になるのは、近年脚光を浴びている「外貨建て終身保険」です。ここでは、通常の円建ての終身保険と比較しながら、①外貨建て保険の特徴、②終身保険選びにおける円建てと外貨建ての選択基準についてお伝えしていきます。
円建てと外貨建ての大きな違いとしては、保険料の支払い、保険会社による保険料の積立や運用、保険金の受け取りなどが円ベースもしくは外貨ベースのどちらでおこなわれるかという点です。
外貨建て保険は、以下2つの特徴があります。1つ目は、円より金利が高いとされる外貨で積立や運用をおこなうと積立金額が多くなりやすいこと。2つ目は、為替が変動し想定していた通りの利益を得ることができず損をしてしまうリスクがあること。
このように外貨建て保険は、高金利運用でのメリットがある反面、為替リスクによって支払う保険料や受け取れる保険金が予想しづらいというデメリットがあるのです。言い方を変えると、ハイリスク・ハイリターンな保険とも言えます。リスクがあることを覚悟のうえ、保険で資産運用をして貯蓄金額を増やしたい方は、外貨建ての終身保険を考えてみるのも良いでしょう。
終身保険の種類について詳しく知りたい方は、「終身保険の種類を、どこよりもカンタンに解説!」をご覧ください。
まとめ:まずは加入目的を明らかにして、自分に合った終身保険選びを!
いかがでしたか。
終身保険選びは、加入目的をはっきりさせたうえで、「保険金」「払込期間」「解約返戻金」の3つの要素に着目することで、自分に適した終身保険を決めることができます。終身保険選びのポイントをまとめると以下のようになります。
・保障目的の場合……万が一のときに、残された家族が葬祭費用などに困らないように、そこから逆算して計算する。
・貯蓄目的の場合……子どもの教育費や老後の生活費など、将来必要な金額から逆算して計算する。
・保障目的の場合……できるだけ短い期間にする。割安になる場合があるため。
・貯蓄目的の場合……できるだけ短い期間にする。解約返戻金の返戻率が高くなる場合があるため。
・貯蓄目的の場合……解約返戻金の返戻率が高いものを選ぶ。
・終身保険……自分の好きなタイミングで解約返戻金を受け取れるため、学費や教育費以外の用途でも使いたい方におすすめ。
・学資保険……学費や教育費が必要になるタイミングで確実に保険金を受け取りたい方におすすめ。
・円建て保険……為替リスクを負いたくなく、保障を確実に受けたい方におすすめ。
・外貨建て保険……為替リスクを負っても良く、保険で資産運用をしてお金を増やしたい方におすすめ。
終身保険には「低解約返戻金型終身保険」「積立利率変動型終身保険」「変額保険(終身型)」「外貨建て保険」など種類も多く特徴も異なります。自分一人で選ぶのは決して容易なものではないでしょう。
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この記事を読んでみてやっぱり「選ぶのは難しそうだな……」「自分に合った終身保険を探すのは大変そう」と少しでも思った方は、ぜひ保険見直し本舗をご活用ください。