学資保険とはなにか?~学資保険のキホンの「キ」~

保険の基礎知識

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学資保険とはなにか?~学資保険のキホンの「キ」~

子供を育てていくうえで悩みの種になるのが「どのように子供の教育資金を工面するか」ということではないでしょうか。


    「しっかり教育資金を貯められるだろうか」

    「公立校ならまだしも、私立校に進学となったらお金がかかる」

    「塾や習い事の費用も大変そう」


など、子供に関わるお金の心配事は尽きません。


子供がやりたいことならば、自由にやらせてあげたい、全力で応援してあげたい。そう願うのが親心ですが、そのためには先立つ資金が必要です。そのような教育資金の準備をするうえで心強い味方になってくれるのが「学資保険」です。


とはいえ、「学資保険って聞いたことはあるけれど具体的な内容までは知らない」という方も多いのではないでしょうか? ここでは「そもそも学資保険って何??」という素朴な疑問について、シンプルに分かりやすくお伝えします。


まとめ. 効果的な教育資金の準備なら学資保険も検討の余地あり!


1.学資保険とは?


保険を理解するためには、「その保険はどんな目的のものなのか」「どんな保障が用意されているのか」を把握することが大切です。この章では、学資保険の目的と学資保険の保障内容について、全体的なイメージを掴みましょう。


1-1 学資保険の2つの目的、「学資の準備」と「医療保障の確保」


学資保険の主な目的は「学資の準備」と「医療保障の確保」の2つです。


まずメインとなるのが、「学資の準備」。


一般的に子供は、幼稚園 ⇒ 小学校 ⇒ 中学校 ⇒ 高校 ⇒ 大学という進学ルートを辿っていきます。文部科学省の「子供の学習費調査」(平成30年度)によれば、幼稚園に入園し、高校を卒業するまでに必要な平均的な教育資金は、すべて私立に通った場合で約1,830万円、すべて公立を利用した場合でも約540万円に上ります。


子供の教育は、進学先が公立か私立か、進学先へ自宅から通学するか下宿先から通学するか、などによっても変わってきますが、いずれにしても子供の教育費が家計にとって大きな負担になることは間違いないようです。


学資保険のひとつめの目的は、その子供の教育資金による家計への負担を和らげることです。学資保険に加入すると、毎月保険料を支払う代わりに、加入時に決めたタイミングでまとまった保険金を受け取れます。


また、一般的に学資保険の受け取る保険金の総額は、支払った保険料の総額よりも多くなります。つまり、保険金の受け取りを教育資金の負担が重くなるタイミングに設定すれば、効率的な教育資金の準備にもなるのです。子供の教育資金が「いつ・どのくらい」必要になるかを予測し、それに見合った学資保険に加入しておけば、子供の教育資金を工面するうえで、大きな助けになると言えそうです。


学資保険のもうひとつの目的は「医療費の確保」です。


子供も事故や病気により、入院や手術をする可能性があります。もちろん日本では公的医療保険制度も充実していますが、病状や治療内容によっては大きな治療費の負担が発生するケースも考えられます。学資保険のなかには、そうした事態にそなえて、入院や手術の際に保障を受けられる特約を付加できるタイプも存在します。


そのような特約を付加しておけば、子供が病気やケガをしたときに、手厚い治療や待遇を受けさせてあげることができるでしょう。ただし医療保障の特約を付加した場合、解約をしたり満期を迎えたりしたときに受け取れる保険金は少なくなることがほとんどですから、その点には注意しましょう。


1-2 学資保険の保障内容は?


それでは、学資保険の具体的な保障について見ていきましょう。


学資保険の主な保障内容としては、次のようなものが挙げられます。

●満期保険金/満期祝い金

     契約満期時に受け取れる保険金。学資保険の中でメインとなる保障で、受け取れる金額は最も大きい。


●入学祝い金/学資祝い金

     主に小学校~大学に進学する際、入学時の祝い金として一時金が受取れる。


また、これらの保障には下記のような特約を付加することができるのが一般的です。

●保険料免除特則

     契約者(多くの場合、保護者)が死亡もしくは高度障害状態となった場合に、保障内容はそのままで保険料の支払いが免除される特約。


●育英年金

     契約者(多くの場合、保護者)が死亡もしくは高度障害状態となった場合、1年に一度、育英費用として決まった金額の保険金を受けることができるという年金形式の特約。


●入院給付金特約

     入院した際に所定の保障が受けられる特約。入院1日に対して、5,000円、10,000円など所定の給付金が受け取れるタイプが一般的。


●手術給付金特約

     手術を受けた際に所定の保障が受けられる特約。手術1回に対して、5万円、10万円など所定の給付金が受け取れるタイプが多い。


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2.学資保険にはどんなメリットが?


前章では学資保険の目的と保障についてお伝えしました。では次に、学資保険に加入すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。


学資保険のメリットは大きく分けて「学資の準備を計画的に進められる」「税制面での優遇が受けられる」、「資産運用として活用できる」の3つが挙げられます。それぞれ見ていきましょう。


2-1 学資の準備を計画的に進められる


1つ目のメリットは「学資の準備を計画的に進められること」です。


いざ学資の準備をしようと意気込んでも、なかなか計画通りにはいかないものです。ついつい欲望に負けてしまったり、途中で手をつけてしまったり、誰にでも思い当たる節があると思います。特に学資の準備は、金額も大きいですし、期間も長いですし、最後まで続けるのも一苦労でしょう。


学資保険はコツコツ計画的に学資の準備をしたい人の心強い味方。学資保険は「保険契約」、つまり契約をしたら決まった日に決まった保険料の引き落としがあります。その保険契約の「決まり」を活用すれば、毎月の積立を自動化できるのです。


さらに学資保険は途中解約した場合、払戻金は支払った保険料よりも少なくなることがほとんど。途中でやめたら損をするとなると、「やっぱり最後まで頑張ろう!」と自然に熱意も湧いてくるのではないでしょうか。


最後まで学資の準備をやり遂げるために学資保険の力を借りるのも良いかもしれません。


2-2 学資保険金は一時所得なので保険金額によっては税金がかからない場合も


2つ目のメリットは、「税制面で優遇を受けられること」です。税制面の優遇に関しては、「一時所得」と「生命保険料控除」の2つがあります。順を追って、それぞれご説明します。


預貯金の利子や公社債投資信託の分配金は、税制上「利子所得」とみなされます。それに対して、生命保険で受け取った保険金は、医療保険の給付金などのように身体の傷害・疾病を原因として受け取るもの以外は「一時所得」または「雑所得」として扱われます(所得税ではなく相続税や贈与税の対象になる場合もあります)。そして、学資保険で解約時や満期時に受け取る保険金は「一時所得」の範囲に含まれています。


利子所得に対しては、約20%の税金が課されます。たとえば、100万円の預金に利息がついて(現在の低金利ではありえない話ですが)120万円に増えたとしましょう。その場合、残念ながら120万円をそのまま受け取れるわけではなく、利息分の20万円に約20%の税金がかかります。そうなると、実際に手元に残るのは約116万円になってしまいます。


一方で学資保険の保険金は一時所得として扱われますが、その税額の計算方法は利子所得と異なります。一時所得の税額の計算方法は次の通りです。


一時所得の税額=(受け取った金額-受け取る金額を得るために支払った金額-特別控除額50万円)×1/2


これを学資保険に当てはめると、受け取った金額=満期保険金や祝い金の総額、受け取る金額を得るために支払った金額=保険料の総額になりますから、学資保険の税額の計算は以下のように算出できます。


学資保険の保険金の税額=(満期保険金・祝い金の総額-保険料の総額-特別控除額50万円)×1/2


つまり、特別控除額として50万円が差し引かれるので、満期保険金や祝い金といった受け取る保険金の総額と、毎月支払う保険料の総額の差が50万円以下であれば、そもそも税金がかかることはないのです。


これは学資保険に加入するまえに、しっかり押さえておきたいメリットの1つと言えるでしょう。


2-3 生命保険料控除を受けられるので節税にもなる


所得税や住民税の金額は、所得に対して税率をかけることで算出されます。その所得とは、単純な収入の合計のことではありません。収入から特定の金額を差し引いたものが所得とされます。


この収入から特定の金額を差し引くことを「所得控除」と言いますが、所得控除を受けた場合、税率を乗じる所得の金額自体が小さくなりますから、それにつれて支払う税金も少なくなるのです。


所得控除の1つに「生命保険料控除」という、生命保険の加入にかかった費用(保険料など)を控除する枠が設けられており、それはさらに「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3つに分かれています(平成24年1月1日契約分以降)。


学資保険にかかった費用(主に保険料)は、そのうち「一般生命保険料」の対象のなかに含まれます。つまり、税率をかけられる所得から学資保険にかかった費用は差し引かれるので、結果として所得税や住民税の節税に繋がるのです。


詳細な計算方法はここでは割愛しますが、学資保険の保険料を含む「一般生命保険料控除」の枠を最大限活用した場合、


    所得税の所得控除:40,000円

    住民税の所得控除:28,000円


になります。ただし、控除には上限額が定められており、すでに上限に達している場合には新たに控除を受けられないケースもあるので、その点には注意しましょう。


このように学資保険には税制面で優遇を受けられるメリットもあるのです。


2-4 資産運用として活用できる場合がある


学資保険では、受け取る保険金の総額が支払う保険料の総額を上回るケースがほとんどです。


「支払う保険料の総額」に対する「受け取る保険金の総額」の割合を「返戻率」と呼びますが、保障内容や払込期間によっては、返戻率が110%、120%に達する場合もあるようです。あくまで一例ですが、保険料を総額で100万円支払ったとしたら、返戻率110%であれば110万円、返戻率が120%であれば120万円の保険金を受け取れるということになります。


返戻率に着目して学資保険を選べば、資産運用としても効果が期待できそうです。


なお、学資保険の返戻率の計算方法ですが、学資保険で受け取れる保険金は主に「満期保険金」と、進学の時点で支給される「入学祝い金」ですから、以下のようになります。


返戻率(%)=(満期保険金+入学祝い金)÷支払った保険料の総額×100


商品によっては大きな返戻率を期待できる学資保険もあるので、加入前に返戻率をしっかりと把握し、資産運用としての活用も視野に入れておきたいところです。


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3.学資保険のリスクやデメリットは?


前章では学資保険のメリットについてお伝えしてきました。


ですが、その一方で学資保険にはデメリットも存在します。ここでは学資保険の主なデメリット=「換金性が低い」「途中解約をした場合の解約返戻金が少ない」「インフレに弱い」という3点について見ていきましょう。


3-1 換金性が低い


すでに見てきたように、学資保険は子供の教育資金の準備が主な目的です。ですから、特に大きな教育資金が必要になる高校卒業から大学入学にかけての間に満期を設定し、そのタイミングで受け取った満期保険金を教育資金に充てます。


そうなると、基本的に満期は子供が18歳前後の時期になりますが、それまでの間、支払った保険料を銀行預金のように自由に引き出すことはできなくなります。


加入時にしっかり家計と相談し、無理のない保険料で始めるのが良いでしょう。


3-2 満期前に途中解約をした場合、解約返戻金が支払保険料総額を下回ることも

原則的に学資保険では途中で払い込んだ保険料を引き出したりすることはできないと述べました。


ですが、どうしても物入りでお金が必要になったときには、途中で解約をすれば解約返戻金を受け取ることができます。


しかしながら、満期前に途中で解約すると多くの場合、その解約返戻金は支払った保険料の総額を下回ってしまいます。この点にはあらかじめ注意が必要だと言えそうです。


3-3 インフレに弱い


インフレとは、物価が上がり、お金の価値が下がることを言います。そして通常はインフレになるにつれて、金利も上昇していきます。


現在、日本では金融政策によりインフレ率約2%目標が掲げられており、今後インフレとなり金利が上がっていく可能性が考えられます。もしもそうなった場合、景気動向に関わりなく加入時に決められた利率で運用する学資保険の金利(=固定金利)が、必ずしも有利なものではなくなることもあり得ます。


基本的に固定金利の学資保険は、加入時に決めた金額をしっかりと受け取れるという意味ではメリットもあるのですが、このようにインフレに対応できないデメリットもあります。この点はあらかじめ注意を払いたいところです。



4.どんな人が学資保険を検討するべきか?


最後に、学資保険の加入を検討するべき人について見ていきましょう。


4-1 教育資金の負担が大きい方


通常よりも教育資金が重くなる見通しの方は学資保険を検討してみても良いかもしれません。


たとえば子供が複数人いたり、何度も受験を予定していたり、早い段階から子供を私立へ入学させたかったり、そうした特別な事情や希望があるご家庭は、教育資金の負担が重くなることが予想されます。そのような場合、学資保険は十分に検討に値するのではないでしょうか。


4-2 貯金が苦手な方


子供の教育資金の準備は、10年以上の先を見すえて長期的なスパンで進めていく必要があります。それを自分の手だけでやり通すのは、決して簡単ではないでしょう。そこで学資保険の力を借りるのも有効な方法の1つです。


学資保険を利用した場合、子供の教育資金の準備金として毎月少しずつ自動でお金が引き落とされていきます。


また、一般的に途中で解約をすると、受け取れる保険金は支払った保険料の総額に比べて少なくなるので、「できるだけ最後まで続けよう」という意識も働きやすいのではないでしょうか?



まとめ:効率的な教育資金の準備なら学資保険も検討の余地あり!


いかがでしたか? ここでは、学資保険の概要として、


    ・学資保険の役割は「学資の準備」と「保障の確保」

    ・学資保険のメリットは「学資の準備を計画的に進められる」「税制面で優遇を受けられる」「資産運用として活用できる場合がある」

    ・学資保険のリスクとデメリットは「換金性が低い」「途中解約をしたら解約返戻金が少ない」「インフレに弱い」

    ・学資保険を検討するべき人は「教育資金の負担が大きい方」「貯金が不得意な方」


などについてお話してきました。


保険選びで大事なのは、きっちりと基本をふまえたうで「自分にあった保険を選ぶこと」です。とはいえ、学資保険の概要を理解したとしても、数ある商品の中から自分に合ったものを絞り込んでいくことは決して容易ではありません。目的を明確にし、適した商品を選び、具体的に保障内容を決める。その作業には多くの知識と時間を要します。


「うわ、ちょっと自分の手に余るかも…」と感じられたら一度、保険のプロのアドバイスに耳を傾けるのも良いかもしれません。


保険見直し本舗には、保険の基本的な概要から具体的な商品の細部にいたるまで、皆さんの疑問に丁寧にお答えさせて頂く経験豊富なコンサルティングアドバイザーが数多く在籍しています。


是非お気軽にご相談ください。心よりお待ちしております。


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