今や、離婚する夫婦は年間で約19.3万組にも及んでおり、すでに離婚は珍しいことではありません。離婚をした場合、多くの方が家族構成や生活スタイルの変化にともない、精神的な負担を抱えながら多くの手続きに追われることになります。
特にそのなかでも、普段から馴染みのうすい保険の見直しについては、思うように前へ進まないことが多いようです。もしも離婚後に生活が安定せず、改めて自分に合った保険の見直しもままならない中で、病気やケガといった“いざというとき”を迎えてしまったとしたら、取り返しがつかない事態になりかねません。やはり生活の変化に際しては、早いうちに正しい保険の知識を身につけ、保険の見直しを済ませたいところです。
ですが実際のところ、「離婚を機に保険を見直した方が良いのは分かっているけど、どうやって見直せばいいのか見当がつかない…」という不安を持たれている方も少なくないのではないでしょうか? そこで、ここでは離婚時に保険を見直すうえでのポイントについて分かりやすくお伝えしていきます。
1.まずは公的医療保険制度の手続きを!
1-1 公的医療保険制度とは?
離婚後に保険の手続きで重要なのが「公的医療保険制度の脱退と加入の手続き」です。
日本では国民皆保険制度のもと、すべての国民が公的医療保険制度に加入することが義務付けられています。恐らく皆さんも「医療費の自己負担は3割」「1か月の医療費の自己負担の上限は80,100円+α」といった話を耳にしたことはあるかと思います。実はこれらの保障を受けられるのも、公的医療保険制度に加入しているからなのです。
公的医療保険制度の種類は、加入者の職種や年齢に応じて異なりますが、主に会社員の方が加入する「健康保険」と、自営業の方や職業に就いていない方が加入する「国民健康保険」に大きく分けられます。
1-2 結婚生活中に専業主婦/主夫だった方は要注意!
結婚生活中に専業主婦/主夫だった方の場合、パートナーの健康保険や国民健康保険に、扶養家族もしくは世帯員として加入していることがほとんどです。ですが離婚を境にして、専業主婦/主夫だった方は、それまで扶養家族もしくは世帯員として加入していた公的医療保険制度の被保険者資格を喪失し、引き続き保険を利用することができなくなります。
もしもそのまま放置してしまっていたり、手続きが遅れてしまった場合、病気やケガによる入院や手術の際に公的医療保険制度の保障を受けることができず、かかった医療費の10割すべてを自己負担しなければなりません。
そうならないために専業主婦/主夫だった方は、もし子供を引き取る場合にはその分も含めて、離婚にあたって新たな公的医療保険制度への加入手続きをする必要があります。
1-3 離婚後の公的医療保険制度の手続き方法
専業主婦/主夫だった方が離婚後にすべき公的医療保険制度の手続きは、次のような流れになります。以下を参考にして、できるだけ早く新たな公的医療保険制度への加入手続きを終え、保険証の発行をしてもらいましょう。
1-3-1 まずは結婚生活中の公的医療保険制度脱退の手続きを!
①国民健康保険の世帯員だった場合
たとえば夫が自営業などで、結婚生活中に夫を世帯主、妻と子を世帯員とする国民健康保険に加入していた場合、離婚時に夫が国民健康保険被保険者資格喪失届を市区町村へ提出し、妻と子を世帯員から外す手続きを行います。
②健康保険の扶養家族だった場合
たとえば夫が会社員などで、結婚生活中に夫の健康保険へ妻と子が扶養家族として加入していた場合、離婚時に夫の勤務先を通じて健康保険被扶養者(異動)届を社会保険事務所に提出し、妻と子を扶養から外す手続きを行います。その後の加入手続きで必要となる健康保険資格喪失証明書を、夫の勤務先もしくは社会保険事務所から忘れずに取得しましょう。
1-3-2 新たに加入する公的医療保険制度の手続きは、離婚後の生活状況によって変わる!
①離婚後すぐに就職せず、親の公的医療保険制度の扶養/世帯員に入る場合
たとえばこれまで専業主婦/主夫だった方が、離婚後に実家に戻って就職活動を行う場合、働き口が見つかるまでは親の公的医療保険制度の扶養(世帯員)に入ることも考えられます。
親が会社員等で健康保険に加入している場合は、親の勤務先を通じて社会保険事務所へ健康保険被扶養者(異動)届を提出し、扶養家族として申請しましょう。もし親が自営業等で国民健康保険に加入している場合は、市区町村の窓口で世帯員として加入手続きを行いましょう。
どちらの場合も、もし子供を引き取った場合は、子供の分の手続きも合わせて行うようにしましょう。
②離婚後すぐに就職せず、親の扶養/世帯員にも入らない場合
これまで専業主婦/主夫だった方が、離婚後すぐに就職はせず、結婚生活中の貯金等を元に生活をする場合は、市区町村の窓口で国民健康保険への加入手続きを行いましょう。もし子供を引き取った場合は、子供の分の手続きも合わせて行うようにしましょう。
③離婚後すぐに就職をする場合
もし離婚のタイミングで次の就職先が決まっている場合は、新しい勤務先から健康保険の加入手続きを進めます。もし子供を引き取った場合は、子供を自身の扶養家族に加える事も忘れないようにしましょう。
ただ、結婚生活中に加入していた公的医療保険制度を脱退後、就職までの期間が空いてしまう場合、その期間は公的医療保険制度が使えなくなってしまいますから、その場合はいったん国民健康保険に加入するなど、状況に合わせて柔軟に対応をする必要があります。
2.離婚後の民間保険の手続きと見直し
前章では公的医療保険制度が途切れないような手続き方法について見てきました。
公的医療保険制度の手続きが済んだ後は、民間保険について考えなければなりません。ここでは、離婚後に必要となる民間保険の名義変更などの手続きと、民間保険の見直し方について見ていきましょう。
2-1 民間保険の名義変更等の手続き
離婚を機に引越しを行う場合、住所や電話番号などが変わってしまいますし、苗字が変わった方は旧姓へ戻ります。それにともない、結婚中に契約した保険の名義や支払い口座・クレジットカードなど、変更が必要な場合があります。
もしその手続きを行わなかった場合、いざというときに保険金の受け取りがスムーズに進まない可能性も出てきます。それを避けるためにも、離婚に際しては、保険契約を結んでいる保険会社の窓口へ早めに連絡し、名義変更等の手続きを済ませたほうが良いでしょう。
離婚時に民間保険で必要となる主な手続きは次の通りです。
・契約者、保険金受取人、指定代理請求人等の変更
・住所、電話番号の変更
・支払い口座、クレジットカードの名義変更
・印鑑の変更手続き
2-2 民間保険の見直し
一般的に言えば、結婚生活中に加入した民間保険は、いざというときにお互い助け合えるパートナーがいることや、守るべき家族がいることを前提に設計されています。
しかし離婚後には、何かがあったとしても元パートナーの助けを借りることはできなくなりますし、守るべき家族の数も少なくなってしまいます。あえて強い言い方をすれば、離婚後は一人で生きていかなければなりません。離婚時に保険の見直しをする場合にも、その生活の変化を踏まえたうえで臨むべきでしょう。
ここでは離婚後に多いケースとして、①結婚生活中に世帯を支える立場だったケース、②結婚生活中に扶養家族(世帯員)だったケースを想定し、その保険の見直しのポイントについてそれぞれ見ていきましょう。
2-2-1 結婚生活中に世帯を支えていた方は保障をコンパクトに!
結婚生活中に世帯を支えていた方の民間保険の加入目的は、自分に何かがあったときに「家族を守るため」だったのではないでしょうか。なかでも、ご自身の名義で契約していた死亡保険は、万が一のときに残された家族が困らないように手厚く備えているケースがほとんどでしょう。
ですが、離婚をした場合、結婚生活中に想定していた「残された家族の生活費用」までカバーできるような手厚い死亡保険は不必要になります。
基本的に死亡保険は最低限の葬祭費用として200万〜300万円程度のコンパクトなサイズにまとめても良いかもしれません。しかし、もしも子供を引き取った場合などは、子供が独立するまでの間、自分に万が一のことがあったとしても、子供の生活費や教育費をカバーできるだけの保障はしっかり確保しておきましょう。
2-2-2 結婚生活中に扶養家族(世帯員)だった方は保障の上乗せを!
■子供がいない/子供を元パートナーが引き取ったケース
子供がいない、もしくは元パートナーが子供を引き取った場合、結婚生活中に扶養家族(世帯員)だった方は、離婚後に自らの保険をどのようにすれば良いのでしょうか?
一般的に扶養家族(世帯員)の方の保険は、パートナーの保険と比べて保障額の小さいケースがほとんどです。それは、もしも扶養家族(世帯員)の方が病気やケガによる入院や手術をしたとしても、医療費などはかかってくるとはいえ、少なくともパートナーの収入が途絶えることはないので、生活の目処を立てることができたからでしょう。
しかし離婚後、独り身になってから入院・手術をした場合は、医療費がかかってくるうえに、収入が途絶えてしまうことも考えられます。そのときには頼れるパートナーもおらず、すべて自分自身の手でどうにかしなければなりません。
その意味では離婚後、結婚生活中に扶養家族(世帯員)だった方は、仮に子供がいない/子供を元パートナーが引き取ったとしても、医療保険などは手厚い保障に見直す必要があるといえそうです。
⇒医療保険の見直しはこんな風に! 医療保険を見直す厳選ポイントはこちら!
■シングルマザー/ファザーになったケース
次にもともと結婚中はパートナーの扶養家族もしくは世帯員だった方が子供を引き取り、シングルマザー/ファザーになったら、どのように保険を見直していけば良いのでしょう。
離婚後、シングルマザー/ファザーになった場合、自身が家計の中心となり子供を養っていくことになります。子供が独立するまでにかかる費用は、年齢や人数によって異なりますが、幼稚園から大学までの学費として子供1人につき約800万円~約2,300万円が必要だとされています。
もしものことが自身に起こったとしても、残された子供が経済的な困難から路頭に迷ったり、あるいは将来の夢を諦めざるを得ない事態になったりしないように、しっかりと保険を準備しておくべきだと言えます。
では「もしものこと」とは、具体的にどのようなものが想定できるでしょうか。考えられるのは、①ご自身が亡くなってしまう万が一のケースと、②病気やケガで長期的に働くことができなくなってしまう収入減少のケースです。
どちらの場合も、子供の生活費や学費をカバーできるだけの保障が必要になってきます。シングルマザー/ファザーになったとしたら、それぞれのケースに備えて死亡保険、もしくは医療保険や就業不能保険などの手厚い保障をあらかじめ用意しておくことが大切だと言えそうです。
⇒失敗しないために気を付けたい! 医療保険選びの大切なポイントはコチラ!
⇒働けなくなっても子供に負担をかけないために! 就業不能保険の解説はコチラ!
まとめ:生活が激変する離婚のときこそ保険の手続きと見直しを!
いかがでしたか? ここでは、
・離婚後にまずやるべきなのは公的医療保険制度の脱退と加入の手続き
・民間保険では名義、支払い経路、印鑑などの変更手続きが必要
・民間保険の保障内容は、結婚生活中に世帯を支えていた方は保障をコンパクトにする、結婚生活中に扶養家族(世帯員)だった方は保障を上乗せする
といった点についてお話してきました。
この記事に目を通していただいたことで、離婚後の保険に関するやるべきことについては大まかなイメージを掴んで頂けたのではないかと思います。
ですが、具体的に保険の手続きや見直しを進めるとなると、家族構成や離婚後の身の振り方などによっても、その方法は大きく違ってきます。あくまでこの記事でご紹介したことをベースに、より多くのことを踏まえながら保険の手続きや見直しをしていかなければなりません。
「離婚後、ただでさえ色々やるべきことがあるなかで、自分ひとりで保険の手続きや見直しをするのは大変そうだな……」と思われた方はプロに頼るのもひとつの手かもしれません。
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