保険に加入したは良いものの、保険証券は引きだしの奥深くに仕舞ってあり、保障内容も保険期間も曖昧……。そのような中で、身近な人が病気やケガになったり、テレビや新聞で保険の情報を見たりして、ふと次のように思ったことはないでしょうか?
「自分の保険は今のままで大丈夫だろうか……?」
保険には「これに入っておけば一生安心!」という決定版は残念ながら存在しません。なぜなら保険は突然やってくるリスクに備えるものであり、そのリスク自体が年齢やライフステージに応じて変わってくるからです。ですので、保険において大切なのは、今現在の自分が抱えているリスクの輪郭を正確に把握し、それに合わせて然るべき時期に適宜保険を見直していくことです。
さて、「然るべき時期」とはいつのことを指すのでしょうか。
もちろん一人ひとりの生活に応じて保険を見直すべきタイミングに若干の差はありますが、「一般的に保険を見直した方が良いタイミングとポイント」というのは明確に存在します。それさえしっかり押さえておけば、保険の見直しはそんなに難しいものではありません。
そして何よりも、「保険は今のままで大丈夫だろうか?」という不安を抱えることも、「保険選びに失敗した!」と思うことも、きっと少なくなるはずです。
ここでは、「ライフステージ」と「保障内容」から見た、保険の見直しのタイミングとポイントについて分かりやすく解説していきます。
1.ライフステージ別の保険見直し
私たちは生きていくなかで、就職、結婚、出産、マイホームの購入、転職、子供の独立など、さまざまなライフステージを通過していきます。新たなライフステージに入るということは、生活環境が大きく変わるということですから、それに合わせて保険も見直す必要があります。
少し極端な例ですが、まだ就職したばかりの新社会人の方と、すでに仕事をリタイアしたご年配の方では、属しているライフステージが異なるので、それゆえに備えるべき保険の種類が違うことは、容易に想像できるのではないでしょうか。そこで、この章ではライフステージ別の保険の見直しのポイントをご紹介します。
1-1 就職したとき~病気やケガで働けなくなるリスクに備える
就職のタイミングで「もう大人なんだから経済的にしっかり自立しなければ」という決心を胸に、初めて真剣に保険を検討される方も多いのではないでしょうか。恐らく若い方は、これまであまり保険を検討する機会もなかったでしょうから、何から手を付けていいか分からないかも知れません。
しかし実は、就職したときに加入を検討すべき保険は基本的に医療保険と就業不能保険、そして最低限の死亡保険のみです。
医療保険と就業不能保険は、病気やケガで入院・手術をしたり、長期間働けなくなったりした時のための保険。日本には公的医療保険制度がありますから、それである程度はカバーできますが、やはり治療費の負担や収入の減少は避けられません。すでに十分な貯金があり、その貯金でこれらのリスクにかかる費用をまかなえれば良いのですが、就職したばかりの人でそこまでの準備ができている人も少ないでしょう。
誰にでも病気やケガのリスクはあるので、さすがに何も備えがないのは心もとないところです。その意味で、医療保険や就業不能保険は、就職したばかりの方もしっかり加入しておくべき保険と言えるでしょう。
また、もしも死亡保険へ加入するとしたら、大きな保障は必要ありません。死亡保険の主な役割の一つは「自分に万が一のことが起こった時に、残された家族が困らないようにすること」です。既に配偶者がいるケースになると話は別ですが、そうではないなら自分に万が一のことがあったときに両親や身近な人に負担をかけないよう、最低限の葬祭費用として200万円~300万円の保障があれば十分だと言えます。
なお、就職したばかりの新社会人の方の保険選びに関しては、別の記事で詳しくご紹介しています。是非そちらも参考にして頂きながら、あなたにとって最初の保険を考えてみてください。
⇒新社会人の保険の選び方~初めての保険で失敗しないためのポイント
1-2 結婚したとき~医療保険と死亡保険の保証内容を見直す
結婚をすると保険に求める役割は大きく変わります。今までの保険は「自分を守るためのもの」でしたが、結婚をした場合「家族を守るためのもの」になります。
それを踏まえたうえで、結婚したときの保険の見直し方は、片働き夫婦と共働き夫婦の場合で大きく違ってきます。
まず片働き夫婦の場合、働いている方は今までよりも手厚い保障を持つべきでしょう。片働き夫婦の家計は、おもに働いている方の収入によって支えられているはずです。もしそのような状況で、働いている方が、病気やケガで働けなくなったり、あるいは万が一のことが起こったりした場合、配偶者はその後の生活に困ってしまうことが考えられます。
もちろん働いている方がすでに加入している保険はあるかも知れませんが、それは独身のときに「自分の身を守るために加入した保険」であることが殆どなので、多くの場合、配偶者の生活までをカバーするには保障のボリュームが足りません。ですので、結婚に際して、片働き夫婦のご家庭は、働いている方の医療保険と死亡保険を中心に手厚いものに見直しておけば安心だと言えそうです。
次に共働き夫婦の場合ですが、通常、特に大きな保険の見直しは必要ありません。片働き夫婦と比べて、共働き夫婦はパートナーのうちどちらかに予期せぬリスクが起こったとしても、家計的なダメージは少ないと言えます。
なぜなら共働き夫婦であれば、独身のときからそれぞれ自活できるだけの収入と、いざというときに自分の身を守れるだけの保険は確保しているケースが多いからです。子供がいるときや(後に詳しく述べます)、夫婦間で著しく収入の差があるときは別ですが、大きな方向性としては独身のときの保険をそのまま持っておけば良いと言えるでしょう。
ですがそれとは別に、いざというときの保障ではなく、将来のための積立として新たな保険(個人年金保険、低解約返戻金型終身保険など)への加入を検討するのは良いかも知れません。
なお、結婚したときの保険の見直し方については、別の記事でより具体的にご紹介しています。是非そちらも併せてご一読頂けましたら幸いです。
1-3 妊娠・出産したとき~自分を守る保険から家族を守る保険へ
妊娠・出産は、夫婦ともに大きく保険を見直すタイミング。子供が生まれるということは、「守るべき家族が増える」ということです。それに合わせて、今加入している保険を全体的に手厚いものに見直していきましょう。
特に子供ができたときに重要になってくるのは、「将来の子供の学費」と「子供が独立する前に親に万が一の事があったときの生活費用」です。何か予想外の出費やアクシデントが起こったとしても、子供にやりたい事を存分にやらせてあげられるよう、学資保険や死亡保険の備えはしっかりしておきたいところです。
なお、妊娠・出産のときの保険選びに関しては、下の記事で詳しくご説明しています。妊娠・出産のときの代表的な公的制度や出費についても併せてまとめています。
⇒帝王切開は「女性特有の病気」? 女性保険の手厚い保障の範囲
1-4 マイホームを購入したとき~団信保険との重複部分を確認する
保険は「人生で家に次ぐ二番目に大きな買い物」と言われています。逆に言えば、家こそが「人生で保険を超える一番大きな買い物」だということになります。実はこのマイホームの購入というライフイベントも、保険を見直すタイミングの一つです。
さまざまな条件によって変わりますが、家の値段は数千万円~数億円にも及びます。一般的にはマイホームの購入時には住宅ローンを組み、それとともに半ば自動的に「団体信用生命保険」(以後、団信保険)へ加入することになります。
この保険は、契約者に万が一のことがあった場合、それ以降のローンの支払いを免除するというものです。ですから、たとえば家族へ残す死亡保険の保険金額を住居代も含めて高額に設定した方は、そのうち団信保険でカバーできる部分は減額したほうが良いでしょう。言いかえると、死亡保険の保障のなかで、団信保険の保障と重複している部分は削るのが一般的です。
1-5 自営業になったとき~就業不能保険や所得補償保険を考える
会社員のなかには、一念発起して独立・起業する方もいらっしゃいます。もしも会社員から自営業になったときは、保険の見直しのタイミングの一つです。それは、会社員・公務員の方と、自営業の方では、加入する公的医療保険の種類と内容が大きく異なるからです。
公的医療保険制度とは、病気やケガなどで医療サービスを受ける必要がある状態になった際、国から医療費の一部が支給される公的な制度です。
日本においては、「国民皆保険制度」のもと、すべての人が公的医療保険制度に加入する決まりになっています。しかしながら、公的医療保険制度にも年齢や職業に応じて種類があり、すべての人が同じ公的医療保険制度に加入するわけではありません。
具体的にいえば、会社員や公務員の方が加入するのは健康保険、自営業や専業主婦の方が加入するのは国民健康保険です。似たような名前がついていて区別がつきにくいのですが、保障内容が異なるポイントがいくつかあります。そのうち最も大きいのが傷病手当金の有無です。
健康保険に加入している会社員の場合、就業不能状態(=働けない状態)になって通算で1年6ヶ月にわたり、健康時の給与の約2/3に当たる傷病手当金が支給されます。つまり、会社員の方は病気やケガで働けなくなったとしても、すぐに収入が途絶えてしまう心配はありません。
ですが、国民健康保険に加入している自営業の方は、働けなくなっても傷病手当金を受け取ることができません。そもそも国民健康保険の保障に傷病手当金が備わっていないからです。つまり、自営業の方は働けなくなったときに、すぐに収入が得られなくなってしまう懸念があるのです。
なので、会社員から自営業へ職業が変わる際には、働けなくなった時の傷病手当金が無くなることを踏まえて、就業不能保険もしくは所得補償保険を新たに検討してみると良いかも知れません。
なお、別の記事にて自営業の方の保険の選び方について、より詳細にご紹介しています。よろしければ、そちらもご一読頂いたうえで、ご自身に合っている保険について考えてみてください。
1-6 子供が独立したとき~貯蓄型以外の死亡保障はコンパクトに
子供が独立したときも、保険の見直しをするタイミングの一つです。恐らくこれまでは自分たちに何かがあったときに備えて、生活面や教育面で子供に負担をかけないように、比較的手厚い保険に加入していた方が多いと思います。
しかし、子供が経済的に自立した以上、今までのような手厚い保険は必要なくなります。子供が独立した後は、あくまでも夫婦2人分の保障さえあれば十分です。
終身保険や個人年金保険など積み立て機能を備えた保険は別ですが、それ以外の保険については総合的に見直し、保障をコンパクトに抑えても良いかも知れません。なかでも医療保険やがん保険など、健康状態によって大きく保険料や保障内容が左右される保険は、できるだけ体調が安定しているうちに早めに加入した方が良いと言えます。
また、子供が独立するタイミングになると、そろそろ自分たちの老後の資金についても気がかりになってきます。改めて公的年金や個人年金保険から受け取れる年金額を計算し、それだけでは十分な老後の資金の用意が難しいようであれば、追加で積み立て機能を持った保険を考えてみましょう。
なお、子供が独立した際の保険選びに関しては、以下の記事でより具体的にご説明しております。併せてお読み頂ければ幸いです。
⇒老後・退職後に必要な保険は? 安心できるセカンドライフのための賢い見直し方法
2.保障内容別の見直しのタイミング
保険の見直しのタイミングは、ライフステージの変わり目ばかりではありません。保険料の負担を重く感じたり、保険が満期や更新を迎えたりしたときも、保険を見直すタイミングの一つです。
ここでは、保障内容から見た、保険の見直しのタイミングとポイントについてお伝えしていきます。
2-1 保険料の負担を重く感じたとき
基本的に保険に加入したら、決まった保険料を毎月支払っていきます。もしあなたが、ふと「ちょっと保険料が高いなぁ……」「毎月の保険料の支払いが苦しいなぁ……」と感じたのなら、それはちょうど保険を見直す時期が来たサインかも知れません。
というのも、保険は「毎月の保険料を支払う代わりに、所定の条件を満たしたときに保険金を受け取れる契約の金融商品」です。もしも途中で保険料の支払いが滞ってしまえば、所定の条件に該当したときに保険金を受け取る権利を失うだけでなく、場合によっては今まで支払ってきた保険料さえ全くの無駄になってしまうことすら考えられます。
そうならないためにも、自分に必要な保障内容は抜かりなく押さえながら、無理のない保険料の範囲内で継続していくべきだと言えるでしょう。保険料で悩まれている方は是非、自分の保険は今のままで良いのかどうか改めて吟味してみて下さい。
2-2 保険が満期・更新を迎えたとき
保険について何かを見たり読んだりしていると、必ず「更新」や「満期」といった単語を目にし、「コレどういうこと?」と疑問を感じたことはありませんか? 更新は一定期間ごとに保険料が上がったり保障額が下がったりするタイミングのこと、満期は保険期間が終了するタイミングのことをそれぞれ指しています。
たとえば、10年更新の保険は「10年ごとに保険料が上がったり保障額が下がったりする保険」であり、80歳満期の保険は「契約者が80歳の段階で保険期間が終了する保険」です。さらに、応用例を挙げるとすれば、15年更新75歳満期の保険は「15年ごとに保険料が上がったり保障額が下がったりし、かつ契約者が75歳の段階で保険期間が終了する保険」となります。
これで更新と満期についてはマスターして頂いたかと思いますが、なぜ更新や満期が保険の見直しのタイミングになるのでしょう。
その理由は、例外もあるとはいえ、基本的に更新や満期を迎えると保障内容の条件が悪くなったり、保険自体が無くなったりするケースが多いからです。そのタイミングに改めて「今の自分に合っている保険はなにか?」「同じような保障内容でもっと安い保険は無いか?」など新たに保険を検討し、より条件の良いものに乗り換えられたらベストです。
更新や満期が近い方は、一度自身の保険証券を確認し、本当に自分の保険はこれで良いのかどうかを考えてみてはどうでしょうか。
3.保険の見直しの注意点
3-1 新しい契約がスタートするまでは解約しない
保険を見直す場合、今まで加入していた保険を解約し、新しい保険に加入するパターンがあります。
そのときにありがちなのは、古い保険と新しい保険の支払いが重複することを嫌うあまり、新しい保険契約のスタート前に古い保険契約を解約してしまうことです。これはできるだけ避けましょう。大事なことなので繰り返します。新しい保険契約のスタート前に古い保険契約を解約するのは避けましょう。
新しい保険が予定していたスケジュールで成立するかどうかは最後まで分かりません。たとえば、審査や書類手続きがスムーズに進まないこともありますし、そもそも健康上の理由などにより加入を断られるケースも考えられます。
想像してみてください。もし契約のスタート前に古い保険を解約してしまい、何らかの理由で新しい保険に加入できなかった時にどうなるでしょうか? その間にあなたを守る保険は何もなくなってしまいます。そのとき運悪く予期せぬアクシデントが身に降りかかったら大変です。
ですので、古い保険を解約して新しい保険へ加入する場合には、新しい保険の契約成立(一般的には一回目の保険料引き落とし)を確認してから、古い保険の解約手続きを行うようにしましょう。もちろん解約手続きと加入手続きを同時に進める場合もありますが、少なくとも新しい保険の契約がスタートする日(責任開始日)の見通しがつくまでは解約するのは控えた方が無難です。
まとめ:保険の見直しはタイミングとポイントを押さえて!
いかがでしたか?
「ライフステージ」と「保障内容」、それぞれの観点から保険の見直しのタイミングとポイントを見てきました。ここまで目を通して頂いた方は、すでに保険を見直すうえでのベースは理解できたのではないかと思います。
しかし、実際に保険の見直しをするとなれば、年齢、職業、家族構成、現在加入している保険、将来のライフプランなども含めて、より総合的に検討していく必要があります。
「うーん、そこまで細かいと自分一人の力で保険を見直すのは骨が折れそうだなぁ」
少しでもそう思われた方は、プロの助言を仰ぐのも一つの手です。保険見直し本舗でも、皆さんの保険の見直しのお手伝いをしています。
保険見直し本舗では、経験も知識も豊富な保険のプロフェッショナルとして、コンサルティングアドバイザーが数多く籍を置いています。保険のことであれば、どんなに小さなことでも一つ一つ丁寧に、誠心誠意ご対応いたます。
是非まずは皆さんの保険のお悩みをお寄せください。心よりお待ちしております。