女性保険は、女性特有の病気や女性がかかりやすい病気に手厚い保障をしてくれる、女性専用の保険です。したがって、保険が必要かどうかを考えるには、まず女性特有の病気・女性がかかりやすい病気のリスクがどのぐらいなのかを知る必要があるわけですが、「乳がん、子宮頸がんぐらいは思い浮かぶけど詳しくはよく分からない」という人は意外に多いのではないでしょうか。
妊娠・出産を担う私たち女性の体は男性より複雑で、その分さまざまな病気にかかってしまうリスクがあります。
乳がんや子宮頸がんは「女性特有の病気・女性がかかりやすい病気」のほんの一部。このほかにも帝王切開や切迫早産などの異常分娩に関するものから、関節リウマチや鉄欠乏性貧血など男性も発症するけれど特に女性の患者数が多いものまで多くの種類があり、それぞれの病気にかかりやすい年代も違ってきます。
そこで、女性保険で手厚い保障が受けられる「女性特有の病気・女性がかかりやすい病気」の中から代表的なものについて、具体的にどのようなリスクがあるのかをお話ししていきたいと思います。
1.女性の象徴・胸に関する怖い病気
1-1 女性が最もかかりやすいがん・乳がん
ピンクリボン活動や芸能人の闘病記などでマスコミにもたびたび取り上げられる乳がんは、「女性特有の病気」としてまず思い浮かぶ病気ではないでしょうか。
厚生労働省の平成29年「患者調査」によると、乳がん患者の推計は入院している人が全国で約5,700人、外来患者が約2万7,700人。
また、公益財団法人がん研究振興財団 が発表している2014年のがんの統計データによると、乳がんの罹患数(新たにがんと診断される数)は7万6,257例で女性全体のがん罹患数の20.8%を占め、女性がかかりやすいがん第1位となっています。
乳がんは10代、20代ではあまり見られませんが、30代後半ごろから急激に罹患率が上昇。40代後半~60代ごろで罹患率はさらに高まり、70代、80代までその状態が続くのが特徴です。35歳を過ぎたころの女性にとって、最も気になる病気とも言えるでしょう。
とはいえ、若年性の乳がんもあるので、若い世代も決して他人事というわけではありません。
乳がんの治療には、ほかのがん治療と同じように外科療法、放射線療法、薬物療法などがあります。治療法はがんの大きさや悪性度、移転の有無などにより変わりますが、一般的には外科手術でがんを取り除くことが必要。
最近では技術の進歩により、多くの場合に乳房をすべて摘出することなくがんを取り除く「乳房温存手術」が可能になっています。しかし、がんの進行具合や範囲によってはすべての乳房を摘出する乳房切除手術が必要になる場合もあります。
1-2 乳房再建手術とは
乳房は体の一部というばかりでなく、女性としてのアイデンティティにも深く関わるとても大切な臓器です。乳がんで乳房切除手術を受けることになってしまった場合、失った胸の膨らみを取り戻すための再建手術を検討する女性は多いと思います。
この乳房の再建手術にはお腹や背中から取った自分自身の組織を使う方法と、人工物(シリコン・インプラント)を使う方法の2つがあります。
乳房再建手術は2013年7月の保険適用範囲の拡大を受けて手術によっては公的保険が適用されるようになりましたが、それまでの治療や入院費用なども合わせて考えれば大きな出費であることは確かでしょう。
医療保険やがん保険にはすでに加入されている方は多いかと思いますが、なかには乳房再建術が保障の対象外になっているものも存在します。対して、女性保険では、「乳房再建術」など従来の医療保険やがん保険だけでカバーしきれない女性特有のリスクをきめ細かくフォローしているものがほとんどです。
その意味で女性保険は、医療保険やがん保険に加入している方も、プラスアルファとして十分に検討する余地があると言えるのではないでしょうか。
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1-3 乳腺症にも注意
また、メディアではあまり取り上げられることはありませんが、乳房トラブルにはがん以外にも女性ホルモンのバランスの崩れなどが原因で起こる「乳腺症」があり、これも女性保険の手厚い保障の対象に含まれています。
こちらは病気というわけではない良性疾患で、症状は乳房の痛みや張りなど、30代~50代に多いのが特徴です。
乳腺症から乳がんになることはありませんが、乳がんの検診が受けづらくなるために乳がんの発見が遅れる可能性はあります。また「乳腺症だと思っていたら実は腫瘍だった」ということもあるので、違和感を覚えたり、気になることがあるようなら、きちんと病院やクリニックで専門家に診てもらうのがおすすめです。

2.妊娠・出産と密接な関わりがある女性器周辺
2-1 若くても油断できない子宮頸がん
地方自治体での無料検診なども行われていることから、乳がんとともに女性特有の病気として広く認知されているものに子宮の入口にできるがん「子宮頸がん」があります。
公益財団法人がん研究振興財団の「がんの統計'18」によると、2014年時の1年間の罹患数は1万490例。子宮体部のがんと違って20代半ばから発症率が急激に伸びているのが特徴です。

若い世代の子宮頸がん発症者が増えている背景には、性交渉開始の低年齢化があると言われています。子宮頸がんは発がん性のHPV(ヒトパピローマウイルス)への感染が原因とされますが、性交渉はこのウイルスの有力な感染源。なので、たとえ10代でも性交渉を行っていれば、子宮頸がんになる可能性は高まってしまうわけです。
子宮頸がんの治療法としては、がんを切除する「円すい切除術」という方法やレーザーを使った「光線力学的治療」などがありますが、がんが進行している場合は子宮をすべて摘出しなければいけない場合もあります。そうなると、妊娠や出産といった人生設計も根本から変わってしまうだけに影響は非常に大きく、対処が重要な病気といえます。
そのため、子宮頚がんにかかってしまった際には、体に合った万全の治療を受けたいところですが、治療方法や症状によって、がんは大きな治療費が必要になることがあります。そのようなときに、「お金がないからちゃんとした治療が受けられない!」ということがないようにするための方法として、女性保険を検討してみるのも良いかもしれません。
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2-2 もう一つの子宮がん「子宮体がん」
子宮の入り口にできる子宮頸がんに対して、子宮の内部にできる子宮体がんも代表的な女性特有の病気の1つです。
公益財団法人がん研究振興財団の「がんの統計'18」によると、2014年時の1年間の罹患数は1万3,889例。子宮頸がんと違って、こちらは40歳ごろから増え始め50代~60代前半ごろが発症率のピークです。
発生に関わっているのはウイルスではなく、エストロゲンという女性ホルモンで、この値が高い場合に子宮体がんが発生することが知られています。また、遺伝的な異常にしたがって発症するタイプもあります。
2-3 その他の子宮のトラブル
子宮は女性の体の中でもトラブルが起こりやすいところで、がん以外にもさまざまなトラブルがあります。
■子宮筋腫
「子宮筋腫」とは子宮の内側の壁にできるこぶのことで、成人女性では意外にもよく見られる病気です。月経時の出血量が増える、こぶが大きければ早産や流産のリスクを高めるなどの症状があるほか、筋腫が大きくなり膀胱や骨盤内の臓器を圧迫するようだと腰や下肢の痛みやしびれなどを感じることもあります。
無症状なら治療は特に必要ありませんが、大きさや数からして治療が必要な場合は、外科手術により切除することになります。
■子宮内膜症
子宮の内側には、毎月受精を迎えるために準備され、使われないと月経の時に体外に排出される「子宮内膜」という組織があります。これが卵巣や尿管、小腸など子宮の中以外の場所にできてしまうのが子宮内膜症で、生殖年齢の女性の約10%が持っているといわれる病気です。
症状としては不妊症や不正出血、月経時の経血の量が増えるなどがありますが、不妊だけでほかの症状は出ない場合もあるので注意。治療には薬か手術、またはその両方が使われます。
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2-4 見逃せない存在の卵巣がん
女性器にまつわる病気としては、子宮のほかに卵巣がんや卵巣機能不全も忘れてはいけません。このうち、卵巣がんは公益財団法人がん研究振興財団の「がんの統計'18」によると、2014年時の1年間の罹患数は1万11例。50歳~65歳ごろが発症率のピークですが、ほかのがんと違って子どものうちから症状が出ることもあります。
転移しやすいものと転移しづらいものの2種類があり、治療法は進行具合と規模に応じて決まりますが、進度によっては片側または両側の卵巣と卵管の摘出、子宮すべての摘出などを行わなければならない場合もあります。
これに対し、何らかの理由で卵巣が上手く機能しなくなる「卵巣機能不全」という病気もあります。1回の月経期間が長くなったり、月経周期が長くなるなどの症状が典型的なケースです。
さらに悪化すると90日以上月経が来ない無月経や無排卵が見られ、不妊症になってしまうこともあります。妊娠・出産に直接響く部分だけに、特に出産を望むならしっかり治療することが必要になるでしょう。
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3.妊娠・出産には備えるべき危険がいっぱい?
3-1 妊娠・出産に潜むリスクとは
妊娠・出産は女性にとって人生でも一、二を争うビッグイベントであり、家族にとっても大きな喜びです。しかし新しい命を生み出すという大仕事に危険がないわけではありません。
お腹の中で赤ちゃんが育つ約10カ月の間には、母体にも非常に危険な子宮外妊娠や妊娠糖尿病・妊娠高血圧症候群などの病気、流産や早産、分娩時に陣痛が弱かったり帝王切開が必要だったり……とさまざまなトラブルが起こる可能性があります。これらも女性保険の手厚い保障の対象となっています。
代表的なものを順番に紹介していきます。
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3-2 子宮外妊娠の危険性
子宮外妊娠は、受精卵が子宮内以外の場所(多くは卵管)に着床してしまった状態です。自覚症状もないため、初期の段階では気づかれないことも多いですが、妊娠7~8週に入り赤ちゃん(胎嚢)が大きくなってくると、狭い卵管ではその質量に耐え切れずに破裂。お腹の中で大出血を起こし、時にはお母さんの命にもかかわる非常に危険なものでもあります。
特に予防法もないため、子宮外妊娠は妊娠するすべての女性にリスクがあるといえます。クラミジアによる感染症で卵管がダメージを受けていたり、以前に子宮外妊娠を経験した人はリスクが上がるのも特徴です。
治療法としては、卵管ごと切除するか、卵管を切開して胎嚢を取り出すかのどちらかとなります。入院期間は術後5日間~10日間ほどが目安です。
3-3 妊娠高血圧症候群にも注意
妊娠前にはなかったのに、妊娠20週~産後12週に高血圧を発症する、または高血圧に加えて尿にタンパクが混ざる蛋白尿を伴う場合(かつこれらの症状が単なる偶発的合併症でない場合)を妊娠高血圧症候群と言います。
妊婦の20人に1人が発症するありふれた病気ですが、重症になるとお母さんには脳出血や肝臓・腎臓の機能障害などが起こり、赤ちゃんの発育が悪くなったり、酷い場合には亡くなってしまうこともあるので注意が必要な病気です。
妊娠高血圧症候群は肥満だったり、そもそも糖尿病や腎臓の病気を患っていたり、高齢出産の場合などになりやすいことは分かっていますが、治療法は確立されていません。根本的な治療には出産するしかないため、症状の程度によっては長期の入院と安静が必要になる場合もあります。
3-4 「万が一」ではない存在の流産
妊娠の早い時期、具体的には22週までに赤ちゃんが死んでしまうことを流産といいます。できれば経験したくないことではありますが、原因のほとんどは染色体など胎児自身の何らかの異常によって起こると言われてわれています。多くは妊娠12週までに起こります。
3-5 帝王切開ほか異常分娩への備え
数々の危機を乗り越えてようやく赤ちゃんが生まれる段階まできても、最後の難所・分娩でトラブルが起こる場合もあります。
自然と陣痛が起こり、それがだんだん強くなって赤ちゃんが押し出されてくるというお産は「自然分娩」と呼ばれ、これは病気とは見なされないので、多くの女性保険でも保障対象にはしていません(一部には保障対象としているものもあります)。
一方、これ以外のお産は「異常分娩」と呼ばれ、こちらはすべての女性保険で保障の対象となります。
異常分娩には、陣痛が弱すぎるまたは強すぎる「微弱陣痛」「過強陣痛」など難産の原因となるもの、分娩時に出血が酷いなどの母体の損傷、帝王切開や吸引分娩など分娩方法を変える必要がある場合、という3種類がありますが、中でも最も知られているのは帝王切開でしょう。
厚生労働省の「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」の「診療等の状況」によると、2017年に帝王切開によって出産した人は、一般病院では25.8%と約4人に1人になっていますので、実際に異常分娩になる可能性も決して低くないと言えるでしょう。

4.まだある、その他の疾病
4-1 鉄欠乏性貧血は一度病院へ
ここまで乳房、女性器、妊娠・出産と、ほぼ女性にだけリスクのある病気について説明してきました。しかし、女性保険の保障の対象には「男女共にかかるけれど女性の方がリスクの高いもの」も含まれているので、最後にこれについても代表的なものを紹介しておきます。
「鉄欠乏性貧血」は読んで字の通り鉄分の不足が原因で起こる貧血で、月経がある女性の方がかかりやすい病気です。
一般的には慢性的な出血により引き起こされるもので、子宮筋腫や月経時の出血が多すぎるなどの原因であることが多いのが特徴。一度この状態になってしまうと食事療法だけではなかなか回復が見込めないので、一度婦人科で検査を受け、きちんとした治療を行うことがおすすめです。
4-2 原因解明が待たれる関節リウマチ
関節や周囲の骨、その周りの筋肉などが痛む「関節リウマチ」。厚生労働省が2018年11月に出した「厚生科学審議会疾病対策部会リウマチ等対策委員会報告書」によると、推定患者数60万~100万人とも言われる病気です。
詳しい原因はまだ分かっていませんが、同報告書によると、平均発症年齢は2015年時点で男性が56.3歳、女性が50.1歳となっており、女性のほうが早く発症するのが特徴です。その治療も多くの女性保険の保障対象になっています。
まとめ:「何に備えたいのか」考えることから始めよう
これまで、
・「女性特有の病気・女性がかかりやすい病気」の範囲は非常に広いこと
・日本人女性が最もかかりやすいがんは乳がんで、30代後半から急激に発症率が上がること
・子宮頸がんは20代・30代の発症率が上がっており、若い人が気をつけなくてはいけないがんであること
・子宮や卵巣のがんは進み方によっては治療で子宮を摘出しなければいけない可能性もあること
・妊娠・出産では子宮外妊娠、妊娠高血圧症候群、帝王切開をはじめとする異常分娩などが女性保険の保障の対象となること
・鉄欠乏性貧血や関節リウマチなど、女性だけでなくとも女性のリスクが大きいものはカバーされていること
などについてお話ししてきました。
女性保険の基本は「医療保険+女性特有の病気や女性にリスクが大きい病気を手厚く保障する特約」なので、医療保険部分の契約内容次第で、女性特有の病気に加えてがん・急性心筋梗塞・脳卒中のいわゆる「三大疾病」までカバーしたものもあります。
そんなたくさんの選択肢の中から自分に合った保険を選びだすのは、なかなか大変なことです。 ピッタリの女性保険を選ぶ第一歩は、女性特有のリスクについて一通り把握した上で、「何に備えたいのか」を考えること。背景となる女性特有のリスクの内容をつかんでおくことは、専門家のアドバイスを受けるにしてもより役に立つはずです。
保険のプロとしてコンサルティングアドバイザーが多数在籍する保険見直し本舗であれば、最適な保険を一緒に考えることができます。病気への備えとしてあなたにふさわしい保険を選ぶところから始めてみてはいかがでしょうか。
