自分に万が一のことが起こったときに、せめて家族に経済的に不自由な思いをさせたくない……そんなときに頼りになるのが収入保障保険。収入保障保険は、もしも万が一のことが起こったときに、残された家族の生活を長期にわたってサポートしてくれる死亡保険だと言えます。恐らく雑誌やテレビ、インターネットで名前を見聞きする機会も多いのではないでしょうか。
とはいえ、具体的に収入保障保険とは何かと問われると、正直良く分からないという方がほとんどだと思います。そこで、この記事では、収入保障保険の特徴やメリット・デメリットなど、収入保障保険について必ず押さえておきたいポイントを分かりやすく解説していきます。
1.収入保障保険とはどんな保険?
収入保障保険は、あらかじめ決められた保険期間中に死亡した場合、その時点から満期まで死亡保険金をお給料のように年金形式で受け取ることのできる掛け捨てタイプの死亡保険です。
収入保障保険は、掛け捨ての死亡保険という点では定期保険と似ているところもあるのですが、時間の経過とともに受け取れる可能性がある保険金総額が少しずつ減っていくという特徴的な仕組みから、定期保険よりもさらに保険料は割安に抑えられています。手ごろな保険料で長期間にわたる保障を用意できる性格ゆえに、残された家族の生活費への備えとして特に人気のある保険となっています。
1-1 収入保障保険の特徴は?
収入保障保険の主な特徴は、どのようなものなのでしょうか。大きく分けるなら、「基本的な保障は死亡時と高度障害時のみ」「保険金の受け取りは毎月給料のような形で支給される」「時間の経過とともに保険金総額が段階的に下がっていくので保険料が割安」という3点が挙げられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。
●基本的な保障は死亡時と高度障害時のみ
まず収入保障保険の特徴として、保険金を受け取れるタイミングが、亡くなった時と重い障害を負ったときに限定されていることが挙げられます。他の死亡保険では、たとえば解約をしたときの解約返戻金や、満期を迎えたときの満期保険金などを受け取れるものも見られますが、収入保障保険は掛け捨てタイプの保険なので、そのような保険金は受け取れません。亡くなった時の保障に特化した掛け捨てタイプの死亡保険だと考えるといいでしょう。
●保険金の受け取りは毎月給料のような形で支給される
収入保障保険では、もしも保険の対象となる人に万が一のことが起こった場合、残された家族が毎月お給料のような形で一定額の保険金を受け取ることになります。そのほかにも「全額一括で受け取る」「一部一括で受け取る」などの設定ができるものも見られますが、基本的には給料のように毎月受け取ると考えていいでしょう。
他の死亡保険、たとえば終身保険や定期保険などが一括で保険金を受け取ることが一般的である点を考えると、これは収入保障保険の大きな特徴の一つだと言えそうです。その名前の通り、収入保障保険のコンセプトは、仕事をしている家族に万が一のことがあったときの「収入減」に備えること。そのため、年金形式で毎月お給料のような形で保険金を受け取れる仕組みになっているのです。
この年金形式であれば、残された家族は、大きな保険金の預け先に困るということもないですし、保険金を一気に使い果たしてしまうということもありません。少しずつ安定して保険金を受け取ることができますから、安心感を得やすいと言えるのではないでしょうか。
●時間の経過とともに保険金総額が段階的に下がっていくので保険料が割安
収入保障保険は、もしも被保険者に万が一のことが起こったら、その時点から満期まで家族が毎月一定額の保険金を受け取れる保険です。したがって、万が一のことが起こらないうちは、時間の経過とともに保険金を受け取れる月数が減っていきますので、これに連動して亡くなったときに受け取れる保険金の総額も減っていきます。
たとえば、収入保障保険の場合、「被保険者が65歳までに死亡したとき、被保険者が65歳になっていた時点まで毎月10万円を家族に支払う」といった形で契約が結ばれます。もしも40歳の時点で亡くなったとしたら、家族は25年間にわたって毎月10万円の保険金を受け取れるので、合計3,000万円の保険金を手にすることになります。その一方で、60歳で死亡したとしたら、すでに保険期間は5年しか残っていないため、家族が受け取れる保険金は600万円です。
このように、収入保障保険では、死亡した時点での保険期間の「残存期間」に応じて、受け取れる保険金の総額が徐々に少なくなっていきます。保険会社にとっては、被保険者が年を取り亡くなるリスクが高くなっていくのとともに支払う保険金総額が少なくなっていくので、契約期間内でいつ亡くなっても保険金額が常に一定の定期保険と比べて、保険料は割安に設定されています。
1-2 収入保障保険と所得補償保険・就業不能保険の違い
収入保障保険と名前が似ている保険として、所得補償保険や就業不能保険があり、「それぞれどう違うの?」と悩んでしまう方も多いと思います。それでは、収入保障保険と、所得補償保険・就業不能保険では一体何が違うのでしょうか。
所得補償保険と就業不能保険は、「病気やケガで働けなくなったときの収入減に備えるための保険」です。寝たきりで働けないまま治療費や介護費だけはかかってくるという、ある意味で亡くなるよりも恐ろしい経済的なリスクをカバーするための保険だと言ってもいいでしょう。
それに対して、収入保障保険は「亡くなったときや高度障害状態になったときに、残された家族の生活費に備えるための保険」です。ほかに保険金や保険期間についてもそれぞれ全く異なります。全体的な保障内容で見てみると、収入保障保険は定期保険に近い保険であると言えるでしょう。
就業不能保険・所得補償保険について、詳しくは「就業不能保険とは? 保障内容や他保険との違いを解説」をご覧ください。
1-3 収入保障保険の役割とは?
収入保障保険の主な役割として、「被保険者に万が一のことがあったときに、残された家族の生活費の備え」が挙げられます。
生活費の備えというと、「他の保険も同じじゃないの?」と思う方もいらっしゃるかと思います。たとえば、終身保険や定期保険にも保障の役割はありますが、収入保障保険との違いとしては、①保険金を毎月お給料のような形で分割して受け取れる、②時間の経過とともに保険金を受け取れる期間が短くなっていくので保険料が割安、という点が挙げられます。
残された家族の生活費は長期間にわたって必要になってくるものです。また、年月を重ねていけば、子供が独立したり、住宅ローンを完済したりして、必要な金額は減っていきます。その点を踏まえると、収入保障保険は、死亡保険のなかでも残された家族の生活費の備えとして相応しい保険だと言えそうです。
1-4 一部の収入保障保険では三大疾病にも備えられる?
一部の収入保障保険の商品には、オプションとして三大疾病特約を付加できるものがあります。三大疾病特約とは、死亡時以外にも三大疾病のがん、心疾患、脳卒中になった場合も保険金を受け取れるというものです。この特約を付けることで、三大疾病の不安に応えることができます。
とはいえ、三大疾病特約を付加するかどうかは慎重に検討する必要があります。
たとえば、すでにがん保険や医療保険に入っている場合は、収入保障保険の三大疾病特約と保障が部分的に重複することがあるので、必要かどうかは微妙なところです。また、三大疾病により生きながらにして働けなくなるリスクに備えたいのであれば、所得補償保険や就業不能保険のほうが相応しいケースも考えられます。
三大疾病に備えたい方は、収入保障保険だけではなく、がん保険や医療保険、所得補償保険や就業不能保険なども視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。収入保障保険はあくまでも、万が一に備えた保険であることを意識しておくと良いと思います。
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2.収入保障保険のメリット・デメリットとは
2-1 収入保障保険のメリット
収入保障保険の大きなメリットとしては、「割安な保険料で手厚い保障を得られること」、「死亡時や高度障害時のリスクに合理的に備えられること」などが挙げられます。それぞれ具体的に見ていきましょう。
●割安な保険料で手厚い保障を得られること
先ほどお伝えしたように、収入保障保険と終身保険・定期保険との大きな違いとしては、時間の経過とともに受け取れる保険金の総額が少しずつ減っていくことです。それゆえに、割安な保険料で手厚い保障を準備することができます。
さらに保険会社によっては、健康状態に応じた保険料の割引制度「健康優良体割引」が設けられているところもあります。喫煙をしていなかったり、特に健康状態が優れていたりする方の場合、通常よりも割安な保険料で契約を結べることがあるのです。
このように割安な保険料で高額な保障を用意できるところは、収入保障保険の大きなメリットの一つだと言えるでしょう。
●死亡時や高度障害時のリスクに合理的に備えられること
すでに触れたように、収入保障保険で受け取れる保険金の総額は、加入時から徐々に少なくなっていきます。これは残された家族のための生活費の備えとして、とても合理的な仕組みだと言えます。
残された家族には必ずしも常に高額な生活費が必要になるわけではありません。たとえば、子どもが独立して学費の支払いがなくなったり、住宅ローンの返済を終えたりすれば、それにともない家族が生活してくうえで必要な費用は小さくなっていくはずです。その必要な生活費用の変化に合わせて、収入保障保険の保険金を受け取れる期間も時間の経過とともにだんだんと短くなっていくのです。
必要な期間だけ必要な保障を最低限の費用で準備できること。この合理性は収入保障保険の魅力の一つでしょう。
2-2 収入保障保険のデメリット
収入保障保険のデメリットは、「一気に経済的な負担がかかるライフイベントの準備には向かない」、「途中で解約した場合は“損”になってしまう」といったことが挙げられます。
●一気に経済的な負担がかかるライフイベントの準備には向かない
収入保障保険は、基本的に保険金の受け取りが年金形式になっており、万が一のことが起こったら残された家族に毎月給料のような形で保険金が支給されることになります。ですから、亡くなったときの葬儀費用を始めとした死亡整理金や、子どもの大学の初年度費用(入学金や学費)など、一気に経済的な負担が発生するようなライフイベントの備えとしては、あまり向いていないと言えるかもしれません。
もしも万が一のことが起こったときの保険の用意の仕方としては、長期にわたって少しずつ経済的な負担が発生する生活費用には収入保障保険、短期間で大きな経済的な負担が発生する学費や葬儀費用には定期保険・終身保険、といった「合わせ技」も含めて検討するといいでしょう。
●途中で解約しても解約返戻金がない
終身保険とは違い、収入保障保険には解約返戻金は用意されていません。収入保障保険は掛け捨ての保険なので、解約したときには何もリターンが得られないのです。そのぶん割安な保険料になっているのですが、この点についてはあらかじめ認識しておくことが大切です。
まとめ:保険は一人ひとりの悩みによって十人十色!?
いかがでしたでしょうか。
収入保障保険について、簡単にまとめると以下のようになります。
▼収入保障保険の3つの特徴
1.基本的な保障は死亡時と高度障害時のみ
2.保険金の受け取りが毎月の給料のような形
3.時間の経過とともに保険金総額が小さくなっていく仕組みなので保険料が割安
▼収入保障保険の役割
・万が一のことがあったとき、残された家族の生活費の備え
▼収入保障保険と所得補償保険・就業不能保険と違い
・収入保障保険……亡くなったときや高度障害状態になったときに、残された家族の生活費に備えるための保険
・所得補償保険と就業不能保険……病気やケガで働けなくなったときの収入減に備えるための保険
▼収入保障保険のメリット
・割安な保険料で手厚い保障を得られる
・死亡時や高度障害時のリスクに合理的に備えられる
▼収入保障保険のデメリット
・保険金の受け取りが年金形式なので、一気に経済的な負担が発生するライフイベントに対する備えにはあまり向かない面がある
・途中で解約しても解約返戻金がない
収入保障保険は、保険料が割安で長期的に保障を得られる効率の良い保険であると言えるでしょう。万が一のことが起きたときに、月々分割で保険金を受け取れるので、収入減に対して長期にわたって安定的に備えることができます。
保険を決める際は、収入保障保険の特徴をよく理解し、もし自分が加入することになったらどんなメリット・デメリットがあるのかを考えることが重要です。みなさんの家族構成や、すでに加入している保険などによっても異なると思います。
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