保険についての記事やCMをみていると、必ずと言って良いほど出くわす「終身保険」という言葉。なんとなく終身タイプの保険であることは分かるものの、「そもそも終身保険とは何か?」「どんな特徴があるのか?」といった具体的なことについては詳しく知らない、という方がほとんどではないでしょうか。
ザックリいえば、終身保険は「保障が一生涯続く保険」。掛け捨てではないので、貯蓄性を備えているという特徴を持っています。しかし、それだけでは何かイマイチ良く分かりません。それに、一口に終身保険といっても、低解約返戻金タイプ、積立利率変動タイプ、変額タイプなど種類が様々で、「それぞれどう違うの!?」と思わず叫びたくなります。
そこで、この記事では終身保険の保障内容や種類といった「基本」を分かりやすく解説しています。最後まで読んで頂ければ、終身保険について一通りの基礎知識が身につくはずです。ぜひ皆さんの保険選びの参考にしてみてください。
1.終身保険ってどんな保険?
終身保険とは、亡くなったときや重い障害を抱えたときに死亡保険金を受け取れる生命保険の一種です。また、途中で解約をしたときには、解約返戻金としてまとまったお金を受け取れます。
死亡保険金は万が一のことが起こったときに残された家族の生活費の備えになりますし、解約返戻金は子供の学費や老後の生活資金など、さまざまなライフイベントの資金に充てることができます。万が一のときの保障を備えながら、将来のための貯蓄ができる保険。それが終身保険だと言えます。
2.終身保険の4つの特徴
それでは、具体的に終身保険はどのような特徴を持っているのでしょうか。代表的な4つの特徴について、それぞれ詳しく見ていきましょう。
2-1 保障期間が一生涯
終身保険は途中で解約しない限り、保障期間が一生涯続きます。一定の期間が経つと保障が終わるということがありません。そのため、解約しなければ何歳で万が一のことが起こっても遺族は死亡保険金を受け取れますし、いつ解約をしても本人は解約返戻金を受けることができます。
2-2 保険料が変わらない
基本的に終身保険の保険料は一定になっています。何らかの保障の条件を変更しない限り、毎月支払う保険料の金額が変わることはありません。
2-3 保険料の払込期間が選べる
終身保険の保障期間は生きている限りずっとですが、保険料の払込期間は短くすることができます。払込期間にはいくつか種類があり、大きく分けると終身払いと短期払いの2つがあります。
終身払いは、保障が続いている期間、つまり生きている間ずっと定期的に保険料を払い続ける方法です。それに対して、短期払いは決められた期間のうちに保険料を払い終える方法となっています。短期払いは、10年間・15年間・20年間など何年で支払い終えるといった「期間タイプ」や、60歳まで・65歳まで・70歳までなど何歳までに払い終えるといった「年齢タイプ」が見られます。
基本的に払込期間が長ければ長いほど、1回に支払う保険料は安く抑えられます。また、保険料を契約時に一括で支払う一時払いにすれば、他の支払い方法よりも保険料が少なくなるケースもあるようです。
2-4 解約返戻金がある
終身保険では、契約期間中に途中解約した場合「解約返戻金」というものがもらえます。保険会社では、保険料の一部が積み立てられていて、その部分が解約した際に解約返戻金として戻ってくるのです。
解約返戻金は、加入してから年月が経つにつれて、その金額の増える割合が上がっていきます。場合によっては、支払った保険料の総額よりも、受け取る解約返戻金のほうが上回る、というケースもありえるのです。
このように、支払ったお金よりも受け取るお金のほうが大きくなる可能性がある性質から、終身保険は「貯蓄性がある保険」と言われています。
⇒死亡保険(生命保険)をどう選ぶ? 一般的な選び方と考え方のアドバイス
3.終身保険の役割ってどんなもの?
前章では、終身保険の代表的な特徴についてお伝えしました。続いて終身保険の役割について解説していきたいと思います。
終身保険の主な役割として、「残された家族のための経済的な備え」と「将来のための貯蓄」が挙げられます。
3-1 残された家族のための経済的な備え
終身保険の大きな役割の一つが「残された家族のための経済的な備え」です。
たとえば、収入の主な担い手である一家の大黒柱の身に急な不幸が振りかかったら、どうなるでしょうか。残された家族は、精神的な苦痛を受けることはもちろんですが、経済的な不安も大きくなります。今後の生活費はどうすればいいでしょうか。小さな子供がいる家庭であれば、その学費をカバーする方法も深刻な問題になってきます。
すでに少しお伝えしたように、終身保険は万が一のことが起こったときに死亡保険金を受け取れる保険です。その保険金には、残された家族の経済的な支えをしてくれるという役割を担っています。
3-2 将来のための貯蓄
終身保険のもう一つの大きな役割が「将来のための貯蓄」です。
私たちは生きていくなかで様々なライフイベントを経験します。そのようなライフイベントのなかには、大きな経済的な負担が発生するものもあります。一例をあげるなら、子供が高校や大学に進学するタイミングや、老後に入ったときの生活費・介護費などは高額な費用が必要になってくるでしょう。
前述したように、終身保険は途中で解約した場合には解約返戻金を受け取れるようになっています。つまり、お金が必要なタイミングで終身保険を解約し、その解約返戻金を資金に充てるという使い方も可能なのです。このように終身保険は、将来的に必要となる子供の学費や、老後の生活費・介護費に備えるという役割も持っています。
4.終身保険の4つの種類
終身保険は主に4つに分けられます。少し聞きなれない言葉も含まれているかもしれませんが、「低解約返戻金型終身保険」「積立利率変動型終身保険」「変額保険(終身型)」「外貨建て保険」の4種類です。終身保険の基本的な役割「保障」「貯蓄」の部分ではどれも一緒ですが、+αでそれぞれ特徴を持っています。
どのような違いがあるのか1つずつ詳しくみてみましょう。
4-1 低解約返戻金型終身保険
低解約返戻金型終身保険は、現在終身保険の中でもメインとなっている保険です。従来の終身保険と比べて、解約返戻金の額が約70%と割安になっている分、支払う保険料も安くなっているところが特徴です。
短期払いにした場合、保険料払込期間中に解約したときの解約返戻金は少ないですが、保険料の支払いが完了すると支払った保険料を上回る解約返戻金を受け取ることができるタイプが一般的です。そのため、短期間で解約する心配がない人であれば、メリットが大きい保険とされています。
・保険料が安い
・短期払いにした場合、保険料払い込み完了後、支払った保険料より大きい解約返戻金を受け取れるケースが多い
4-2 積立利率変動型終身保険
積立利率変動型終身保険は、市場金利に応じて定期的に積立利率が見直され、保険金や解約返戻金が変動する保険です。
保険会社は今後支払う保険金のために保険料の一部を積み立てており、積立利率が世の中の金利の動向に合わせて変わっていきます。インフレやデフレといった景気動向の変化に対して強く、積立利率の最低保証が設定されているところがメリットになります。
・景気動向の変化に強い
・積立利率の最低保証がある
4-3 変額保険(終身型)
変額保険は、契約した保険会社の運用実績に応じて解約返戻金が変化する保険です。
変額保険の場合、保険会社は保険料を株や債券などの金融商品で運用し、利益が出た分は解約返戻金や死亡保険金に上乗します。運用次第で、保険金や解約返戻金が大きくなることもあれば小さくなることもあります。死亡保険金には最低保証はありますが、解約返戻金には最低保証がない点には注意が必要となります。
・資産運用性が高い
・死亡保険金の最低保証がある
4-4 外貨建て保険
外貨建て保険とは、加入者が支払った保険料を保険会社が主にアメリカドル・豪ドル・ユーロなどの外貨で運用をおこない積み立てていく保険です。
積み立てられたお金は、解約返戻金や死亡保険金として受け取ることができます。現在、ゼロ金利政策の影響などもあり、一般的に外貨のほうが日本円より金利が高くなっています。そのため、外貨建て保険のほうが運用効率が良く解約返戻金を多く受け取れるので、円建ての終身保険と比べて貯蓄性が高いケースも見られるようです。
ただし、外貨建て保険の場合、為替相場の変動などの影響を受けてガクッと解約返戻金が少なくなることもありえます。このような「為替リスク」については、十分な注意を払いましょう。
・為替相場の変動を受けやすい
・保険料が安く(為替相場によっても変わるが)解約返戻金も多い
まとめ:終身保険の基本は分かったが・・・
いかがでしたでしょうか? ここでは、終身保険の特徴や役割、種類について説明しました。簡単にまとめると、次のようになります。
【終身保険の特徴】
・保険期間が一生涯
・保険料はずっと変わらない
・払込期間は選べる
・解約返戻金がある
【終身保険の4つの種類】
・低解約返戻金型終身保険
…解約返戻金を抑えることで、支払う保険料が安い終身保険。
・積立利率変動型終身保険
…市場金利をもとにした定期的な利率の見直しに応じて、
保険金や解約返戻金が変動する終身保険。
・変額保険(終身型)
…保険会社の運用実績に応じて保険金・解約返戻金が変化する終身保険。
・外貨建て保険
…外貨で保険料の運用・払い込み・受け取りをおこなう終身保険。
恐らくここまで読んで頂いた方は、終身保険がどんなものなのか、おおよそのイメージを掴んでいただけたのではないかと思います。しかし、ここで解説したことは終身保険のごく基礎的な知識に過ぎません。
実際に終身保険を選ぶとなれば、性別、職業、家族構成、将来のライフプランなどを考慮にいれたうえで、「そもそも自分に終身保険が必要かどうか?」「数ある終身保険の中から自分に合ったものをどう選べば良いのか?」といったことを検討しなければなりません。
「終身保険を自分で考えるのって、結構難しそうだな……」
少しでもそのように思われた方は、ぜひ他の記事にも目を通してみてください。保険見直し本舗では、自分に終身保険が本当に必要かどうかを考えるポイントをお伝えした記事も掲載しています。
「終身保険って具体的にどんな商品があるんだろう?」という方は、無料で資料をご請求いただくことも可能です。さまざまな保険会社の商品をご紹介しているので、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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