30代になると20代に比べ、ライフスタイルが人によって大きく違うものになっていきます。私生活では、既婚の方もいれば独身の方もいますし、子供がいる方もいれば、いない方もいるでしょう。住居に関しても、賃貸で十分だと考える方から、すでにマイホームを購入した方までさまざまです。また、仕事についても、業種はもちろんですが、会社員や自営業など人それぞれだと言えます。
そのように考えていくと、「30代の保険の選び方」と一口に言っても、それぞれのライフスタイルに応じて保険を選ぶ基準も大きく違ってくると言えるでしょう。
そこで、この記事では、30代の方をいくつか代表的なライフスタイルに分けて、それぞれの保険を選ぶときのポイントを分かりやすく解説していきます。
1.30代独身の保険の選び方
30代の方のなかには、独身の方もいらっしゃると思います。30代で独身の方が保険を選ぶときのポイントは、「“いざというとき”に自分が困らないようにする」ということです。では、その“いざというとき”とは、どのようなケースが考えられるでしょうか。
最初に考えられるのは、病気やケガで入院・手術をして医療費がかかったり、仕事ができなくなり収入が減ったりすることです。すでに十分な貯蓄があり、それで医療費負担や収入減に対応できるのであれば、改めて保険を用意する必要性は低いでしょう。
しかし、「病気やケガをしたときに貯蓄だけでは心もとないな……」という方は、医療費に対しては「医療保険」、収入減に対しては「就業不能保険」で備えをしておくのがオススメです。それぞれの保障のボリュームについては、自分の生活に合わせて無理のない範囲で考えてみましょう。
冒頭で独身の方の保険を選ぶポイントは、“いざというとき”に自分が困らないようにすることだと述べましたが、それでも最低限は周囲に経済的な負担をかけないようにしておきたいところです。具体的に言えば、もしも自分に万が一のことがあったときに備えて、最低限の「死亡保険」は用意しておいたほうがいいでしょう。
「独身で養う家族もいないから、死亡保険なんて必要ないんじゃないの?」と思われたかもしれません。確かに死亡保険は「残された家族が生活に困らないようにお金を残す」という目的で加入する方も多い保険ですが、それ以外にも「被保険者が亡くなったときの死後整理金に充てる」という役割も持っています。
死後整理金とは、葬儀費用、お墓の費用、遺品整理費用といった、養う家族がいる・いないに係わりなく、人が亡くなったときに発生する費用です。親戚などに負担をかけないためにも、独身の方も死亡整理金として最低限200万円~300万円程度の死亡保険は用意しておいたほうが良いと言えそうです。
2.30代既婚の保険の選び方
30代の方のなかには、結婚されている方も少なくないと思います。結婚している方の保険の選び方の大前提は、「“いざというとき”に自分と家族が困らないようにする」ということです。
具体的な保険の選び方としては、家庭のなかのポジションによって違ってきます。「仕事をして収入を担っている方」と「家事をして家庭を支えている方(専業主婦/主夫)」のケースに分けて、それぞれどのように保険を選べば良いか見ていきましょう。
2-1 仕事をして収入を担っている方の保険の選び方
結婚している方のうち、仕事をして収入を担っている方の場合、比較的に手厚い保険が必要だと言えます。なぜなら仕事をして収入を担っている方が、病気やケガをして入院・手術をしたり、あるいは亡くなられてしまった場合、家庭の収入が減少してしまう、あるいは途絶えてしまうことが予想されるからです。そうなったら、家族は経済的に困窮し、今まで通りの生活を送れなくなってしまうかもしれません。
そのような事態を避けるためにも、仕事をして収入を担っている方は、病気やケガをしたときの医療費や収入減に備える「医療保険」と「就業不能保険」、そして万が一のことがあったときに残された家族が生活に困らないようにお金を用意できる「死亡保険」については、手厚く用意しておいたほうが良いと言えそうです。
⇒「医療保険ってどんな保険?」医療保険の基本の「キ」はコチラ!
⇒家族を守るために押さえておきたい!就業不能保険のポイントを分かりやすく解説!
2-2 家事をして家庭を支えている方(専業主婦/主夫)の保険の選び方
結婚している方のうち、家事をして家庭を支えている方の場合、比較的に軽めの保険の用意で十分だと言えます。ですが、最低限の「医療保険」と「死亡保険」をしっかり用意しておく必要があります。
というのも、家事をして家庭を支えている方が病気やケガで入院・手術をした場合にも、当然医療費がかかってきます。それによって家庭の収入が減ることはないかもしれませんが、家事をして家庭を支えている方が入院している間、残された家族は仕事と家事の両立が難しく、外食が多くなったり、ベビーシッターやホームヘルパーといったサービスを利用することもあるかもしれません。
そのように考えていくと、家事をして家庭を支えている方も、最低限の医療保険は備えておいたほうが良いと言えるでしょう。
また、死亡保険についても同様です。
確かに家事をして家庭を支えている方に万が一のことがあっても、額面上の家庭の収入が減ることはないかもしれません。しかし、その後にパートナーが仕事をしながら家事まで担うことはできるでしょうか。こちらのケースでも外食が多くなったり、ホームヘルパーを利用したりすることは、十分に考えられそうです。
また、家庭の収入を支えている・支えていないに係わりなく、人が亡くなったときには「死亡整理金」(葬祭費用、お墓代、遺品整理費など)はかかってきます。その意味では、家事をして家庭を支えている方は、死亡整理金+αとして300万円~500万円程度の死亡保険を用意しておくと良いでしょう。
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2-3 子供がいる場合の保険の選び方
30代の方のなかには、すでに結婚をして子供がいらっしゃる方も少なくないと思います。子供がいる方の場合、保険で「子供の教育資金の貯蓄」と「両親に万が一のことがあったときに子供に負担をかけないための準備」をしておくと安心です。
子供にはさまざまな費用がかかりますが、その中でも特に大きいのが教育資金だと言えます。
今の日本では高校進学率は98.9%(*1)、大学・短大進学率は58.9%に達しています(*2)。子供のほとんどが高校に進学し、さらにそのうち半数以上が大学まで通う計算になります。そうなると、子供が幼稚園~大学まで通う教育資金を何かしらの形で準備しておく必要がありますが、その方法の1つとして考えられるのが学資保険や終身保険(低解約返戻金型)です。
どちらの保険も、一定期間のあいだ保険料を支払う代わりに満期や解約のタイミングでまとまった保険金を受け取れるタイプで、その保険金を子供の教育資金に充てることができます。支払った保険料よりも受け取る保険金の方が多くなることが一般的で、着実かつ効率的な教育資金の準備方法として活用する方もいらっしゃるようです。
子供がいる方は、いちど学資保険や終身保険(低解約返戻金型)を検討してみてはいかがでしょうか。
⇒学資保険ってどんな保険?? 子供の教育資金の準備のために知っておきたい基礎知識!
3.マイホームを購入している場合
30代の方のなかには、すでにマイホームを購入している方もいらっしゃると思います。マイホームを購入するときには住宅ローンを利用することが一般的ですが、その際に「団体信用生命保険」(以後、団信保険)に加入していることはご存知でしょうか。
団信保険は、住宅ローンを借りた人が死亡したり高度障害状態になったりしたときに、残りのローンを肩代わりしてくれる生命保険の一種です。この保険への加入が、住宅ローンの借り入れ条件の1つになっていることが多いようです。
団信保険が通常の保険と大きく違うところは、保険料がローンの金利に繰り込まれていることだと言えます。「保険料」という明確な形で支払いをすることがないので、そもそも団信保険に加入している事実さえ知らなかったというケースも少なくなりません。もしも、すでに加入している生命保険が、被保険者に万が一のことがあったときの住宅資金も想定した金額設定なら、その部分は団信保険と重複していることになります。
マイホームを購入されている方は、加入している団信保険と生命保険の内容をチェックし、重複している部分があればカットして保険をコンパクトにまとめてみると良いかもしれません。
4.30代女性の保険の選び方
30代の女性の方は、通常の医療保険とは別に、女性特有の病気に対する備えをしたほうが良いと言えます。
厚生労働省の『平成29年 患者調査』(*3)によると、女性特有の病気の患者数は、20代から30代にかけて2倍以上に跳ね上がり、全年代を通じてピークに達します。この結果を踏まえると、女性にとっての30代は女性特有の病気に罹患する確率が高まる時期だと言えそうです。
女性特有の病気として代表的なものは、女性特有の部位のがん(乳がん・子宮がん・卵巣がん等)、妊娠や分娩に係わるトラブル、周産期に発生した病態などが挙げられます。
女性特有の病気の場合、治療にかかる費用が他の病気と比べて特別大きいというわけではありませんが、たとえば症状や部位によっては「いまは体を見られたくないから個室で静かに療養したい」「手術の痕が体に残らないようにしっかりとした術後の処置を受けたい」というような希望があり、結果として総合的な費用が膨らむことは想定できます。
30代の女性は、女性特有の病気のリスクに備える意味で医療保険に女性特約を付加したり、リーズナブルな保険料の単体の女性保険に加入したりしておくと安心だと言えそうです。
⇒女性保険はどう選ぶ?? 女性保険選びで必ず知っておきたい3ポイント!
5.自営業の場合
30代の方のなかには、自営業の方もいらっしゃると思います。自営業の方は、会社員の方と比べて公的医療保険・公的年金保険などの保障が手薄なので、その部分をカバーするために「医療保険」「就業不能保険」、そして「死亡保険」「個人年金保険」などに手厚く加入することが一般的です。(*4)
ある視点から見れば、そもそも民間の保険に加入するのは、“いざというとき”に公的な制度だけではまかない切れない部分を補うことが目的ですから、自営業の方が充実した民間の保険を用意することは理に適っていると言えるでしょう。
では、具体的に自営業の方の公的医療保険や公的年金保険が手薄というのは、どういうことでしょうか。会社員の方と比較しながら、見ていきましょう。
5-1 自営業の公的医療保険制度
会社員と自営業では制度上、加入している公的医療保険の種類が違います。会社員の方(第2号被保険者)は「健康保険組合」や「全国保険協会」なのに対して、自営業の方(第1号被保険者)は「国民健康保険」に加入することになります。
健康保険組合・全国保険協会(会社員)と、国民健康保険(自営業)の違いは様々ですが、なかでも大きいのは「病気やケガで仕事を休んだときの手当の有無」だと言えます。
たとえば、会社員の方が病気やケガで仕事を休んだら「傷病手当金」を受け取ることができます。もちろん受け取るための条件はいくつかありますが、仕事を休んだときの手当があるのは安心です。
これに対して、自営業の方は、たとえ病気、ケガなどの理由で仕事を休んだとしても、なにも手当を受け取ることができません。国民健康保険には傷病手当金が備わっていないからです。言い方をかえると、自営業の方は病気やケガで仕事を休めば、そのまま収入が途絶えてしまいます。
自営業の方が、休んでいる間も今まで通りの生活を送るためには、その「収入減」に備える「医療保険」や「就業不能保険」を手厚く用意したほうが良いと言えそうです。
5-2 自営業の方の公的年金保険
公的年金に関しては、まず職業に係わりなく国民全員の加入が義務づけられている「国民年金」があります。会社員の方は、その国民年金に上乗せするような形で「厚生年金」に加入していることが一般的です。
つまり、会社員の方が受け取る年金は、国民年金+厚生年金ということになり、これが建物にたとえられて「会社員の年金は2階建て」と言われたりします。さらに、勤めている企業によって、その上に厚生年金基金も用意されていて、「3階建て」になっているケースもあります。
その一方で自営業の方の公的年金は、任意加入の国民年金基金などもあるとはいえ、基本的には国民年金のみの加入です。先ほどの建物の例にならえば自営業の年金は「1階建て」ということになります。
より具体的に言うならば、自営業の方は会社員の方と比べて、万が一亡くなったときに残された家族に支給される「遺族年金」、重い障害を負ったときに支給される「障害年金」、そして老後に支給される「老齢年金」が少ないと言えます。
それゆえに、自営業の方は「亡くなったときのリスク」「働けなくなったときのリスク」「老後の生活が経済的に安定しないリスク」の多くの部分に対して、自助努力で備える必要があると言っていいでしょう。そして、その自助努力の方法の1つとして、「死亡保険」「就業不能保険」「個人年金保険」を手厚く用意することは、十分に検討に値しそうです。
5-3 自営業の方の雇用・労災保険
会社員の方は、もしも失業したり、業務中に病気やケガをしたりした場合、雇用保険や労災保険から手当を受け取ることができます。
手当を受けるのには条件がいくつかありますが、具体的にいえば、雇用保険は失業した際に安心して就職活動に専念できるようするための「失業給付金」や、スキルアップするための「職業訓練給付金」といった保障を備えています。労災保険は、通勤中や業務中に病気・ケガをしたり、亡くなったりしたとき給付金が支給されるものです。
これらの雇用保険・労災保険は会社員の方を対象とした制度なので、残念ながら個人事業主などの自営業の方が加入することはできません。つまり、自営業の方が職を失ったり、業務中・通勤中に病気やケガをしたりしても、会社員の方のように雇用保険あるいは労災保険からの保障を期待することができないのです。
そうしたリスクに備えて、自営業の方は、「医療保険」や「就業不能保険」などは手厚く用意しておいたほうが良いと言えそうです。
まとめ:30代の保険選びのポイントはまだまだある!?
いかがでしたか?
ここでは30代の方を代表的なライフスタイルに分けて、それぞれの保険を選ぶうえでのポイントについて見てきました。
しかしながら、実際に保険を選ぶときには、ご紹介したポイント以外にも、年収、ライフプラン、加入している保険といった細かい部分も含めて、より総合的に検討していかなければなりません。そのうえで自分に必要な保障を見極めて、それに合った保険を数ある商品の中から絞り込んでいかなくてはなりません。それには多くの知識と時間が必要でしょう。
「自分で保険を選ぶって大変そう、なにか良い方法はないかな……」
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