健康リスクから考える、女性保険の必要性

保険の基礎知識

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健康リスクから考える、女性保険の必要性

女性保険は基本的に、医療保険と女性特有の病気等に対する厚い保障がセットになったもの。「一般の病気・怪我に対する備えと、女性特有の病気・女性がかかりやすい病気に対する備えが一度にできる」のが特徴で、女性特有の病気等になった時に、一般の保障に上乗せして厚い保障を受けることができる商品です。

ただしその分、ただの医療保険に比べれば保険料は高めなことが多いため、「安心できる」「頼りになる」との声がある一方で、「負担が大きい」「一般の医療保険で十分」だという人もいます。女性保険について情報を集めれば集めるほど、「一体どっちなんだろう?」と迷ってしまったという方も多いのではないでしょうか。

個人の状況は一人ひとり違うので、万人によい保険というものはありませんし、女性だから女性保険に入った方がいいかといえば必ずしもそうとは限りません。しかし女性保険は、女性の声に応えて作られた女性専用の保険。その誕生の裏にはニーズがあり、やはり女性保険ならではのメリットというものは確かに存在します。

そこで今回は、女性保険が自分に必要かどうかを判断するための材料として、私たち女性の人生には健康上どんなリスクがあるのか、女性保険はそのリスクを軽減するのにどんな風に役立てることができるのかをお話していきたいと思います。

まとめ. 年代によって変わるリスクを意識しよう

1.女性が人生で直面する健康上のリスク

1-1 女性特有のがん

女性が人生で直面する健康上のリスクには、まず女性特有のがんである乳がん、子宮がん(子宮頸がんおよび子宮体がん)、卵巣がんなどの発症リスクが挙げられます。

がんは日本人の死因のNo.1で約27%を占め、年間に約37万4000人が亡くなる病気です。このうち、女性だけに限っていえば1年間で亡くなる人は約15万5000人。がんの部位別に見ると、死亡数が多い順に大腸、肺、膵臓、胃、乳房となっており、乳がんだけでも年間に約1万4000人が亡くなっています。

一方、部位別のがん罹患数(ある1年のうちに新しくがんと診断された件数)では、2014年時の女性のデータによると、多い方から乳房、大腸、胃、肺、子宮の順で、第1位の乳がんは約7万6000例、第5位の子宮がんは約2万2400例、1~5位には入っていないものの、卵巣がんも約1万例あります。

さらに注意したいのは、これらのがんのうち特に乳がんにかかる人の割合が増加傾向にあることです。同データの部位別のがん罹患数の推移を見ると、2000年からの14年間で乳がんは16.8%から20.8%に増加。がんにかかる女性の5人に1人が乳がんという状態になっています。

また、国立研究開発法人国立がん研究センターが発表したがん罹患数予測によると、2021年の1年間で新たにがんにかかると予測された人の数は乳がんが9万4400人となっています。

ちなみに子宮がんは2万8600人、卵巣がんは1万3100人で、1年間にこれらの女性特有の3つのがんにかかる人の予測人数は合計13万6100人。女性全体での予測数は43万1900人なので、その割合は31.5%です。1年間に新しくがんを発症する女性のうち、3人に1人弱がこれら女性特有のがんにかかっていると言えるのです。

ご存知の通り、がんは通常の病気と比べても治療費が大きくなりがちですから、これだけ高いり患率であれば何かしらの形で「がんの備え」は用意しておきたいとことですね。

⇒女性特有のがんへの備え! 女性保険を選ぶうえでの厳選ポイントはコチラ!!

1-2 女性器のトラブル

子宮や卵巣といった女性器は、前述のようにがんを発症することもありますが、女性の体の中でも非常にデリケートな場所なので、ほかにもさまざまなトラブルが起こる場合があります。代表的なところでは次のようなものです。

■子宮筋腫
子宮の内側にこぶができた状態で、成人女性では意外にもよく見られる病気です。無症状なら特に治療は必要ありませんが、大きい場合は月経時の出血量が増えたり、早産や流産のリスクを高めることもあります。

■子宮内膜症
月経のある女性の子宮の内側では、毎月赤ちゃんを迎えるために子宮内膜が準備され、使われない場合は月経時に体外に排出される、ということが繰り返されています。この子宮内膜が、卵巣など子宮以外の場所に作られてしまうのが子宮内膜症で、生殖年齢の女性の10%が持っていると言われています。不妊症などの症状につながる可能性もあります。

■卵巣機能障害
何らかの原因で、卵巣がうまく機能しなくなってしまった状態です。月経周期が長くなるなどの症状として表れ、悪化すると90日以上月経がない無月経や無排卵につながり、不妊症になってしまうこともあります。

1-3 妊娠・出産時にかかる負担

新たな命をこの世に送り出す大仕事である妊娠・出産。お母さんにとっても家族にとっても大きな喜びですが、そこにも乗り越えなければならないさまざまな危険が潜んでいます。ここでも代表的なものをいくつか紹介します。

■妊娠初期:子宮外妊娠
受精卵が子宮以外の場所(多くは卵管)に着床してしまった状態で、自然状態でも発生件数は多くありませんが初期は自覚症状もなく予防法もありません。そのまま胎のう(赤ちゃん)が成長してしまうと、卵管が破れて大量出血にもつながる大変危険なものです。

■妊娠中期:妊娠高血圧症候群
妊娠前には異常はなかったのに、妊娠20週~産後12週の間に高血圧の症状が出るものです。ひどくなると赤ちゃんの命にも関わる病気です。根本的な治療はなく出産するしかないため、症状の程度によっては長期の入院と安静が必要になる場合もあります。

■分娩時:異常分娩
自然に陣痛が始まり、いきむリズムに合わせて自然に進む分娩は「自然分娩」と呼ばれます。対して、陣痛が弱いまたは強すぎる、赤ちゃんが中々出てきてくれない、逆子で自然分娩が難しい、赤ちゃんの状態が悪い、などの理由で行う陣痛促進剤の使用や吸引分娩、帝王切開などを総称して「異常分娩」といいます。ケースによっては母体にダメージがあったり、入院期間が長引いたりすることがあります。

このほか、もちろん男女共通のがんや糖尿病、高血圧などの生活習慣病、それにより引き起こされる脳卒中や心筋梗塞などになるリスクもあります。

⇒妊娠・出産などのリスクには女性保険! 失敗しないために知っておきたい厳選ポイントは?

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2.リスクが高まる時期とは?

2-1 若い時に発症率が高い女性特有のがん

がんは一般的に、加齢と共に発症率が高まる病気というイメージがありますが、女性の場合は必ずしもそうとは言えません。

確かに消化器系・循環器系のがんはそういう傾向にあるのですが、乳がんや子宮がん、卵巣がんなどの女性特有のがんは、20代や30代、早い人では10代から発症するリスクがあり、発症率のピークもそれらのがんより早い時期に来るからです

年齢階級別罹患率分布(乳がん、子宮がん、卵巣がん)

公益財団法人がん研究振興財団『がんの統計'18』の「年齢階級別がん罹患 部位内訳(2014年)」女性の部によると、胃や大腸、肝臓、肺など、消化器・循環器系のがん罹患率がおおむね年齢とともに上がっていくのに対し、乳がんは比較的に若い世代で高い罹患率を示しています。

同資料の「年齢階級別がん罹患率推移」と合わせて見ると、その発症率は20代後半から徐々に上がり始め、30代後半になると急激に上昇。40代~60代でピークを迎えた後、徐々に下がっていくことが分かります。

また同資料によると、子宮がんの発症率は20代前半から急上昇を始め、子宮頸がん(子宮の入り口近くにできるがん)は30代後半~40代前半がピーク、子宮体がん(子宮の中にできるがん)は50代頃にピークを迎えます。

また卵巣がんは、数は少ないながらも子どもの頃から発症するケースもあり、10代後半頃から徐々に発症率が上昇します。そして、30代後半になると爆発的に上昇し、40代~50代がピークとなっています。

⇒女性保険は若い人ほど必要!? 女性保険を検討すべきタイミングとは?

2-2 帝王切開での出産率は約20%

一方、発症率ではありませんが、異常分娩の代表ともいえる帝王切開についても、興味深い数字があります。

厚生労働省の「平成29年(2017)医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」の「診療等の状況」によると、2017年9月の分娩件数は7万6953件で、1990年の同月に比べて約1万2000件の減少。一方、帝王切開での出産割合は伸び続けており、1990年には一般病院と一般診療所を合わせて約10%に過ぎなかったのが2017年には20.4%と、約5人に1人が帝王切開で生まれるまでになっています。


3.女性保険に加入する意味とは?

3-1 病気になった時の医療費負担をカバー

このように女性には男女共通の病気にかかるリスクに加え、若くても女性特有のがんを発症するリスク、妊娠・出産に際して異常分娩に直面するリスク、などがあることがわかりました。

では実際にこれらの病気や状態になった時には、どのような負担が発生するのでしょうか。一例として、乳がんを発症したと仮定して考えてみたいと思います。

乳がんの場合、治療そのものは外科手術でがん組織周辺を切除するのが基本です。しかし、もちろん切るだけで「はい、おしまい」とうわけにはいきません。がんの大きさや進行具合にもよりますが、おおむね次のような費用が必要になります。

    ・検査費
    ・ホルモン治療など術前の療養法費用
    ・手術代
    ・乳房全摘出の場合の再建手術代
    ・手術・治療にかかる入院費用
    ・術後、再発予防のための抗がん剤や放射線治療、ホルモン治療などの費用
    ・通院交通費

このうち、先進医療や一部の乳房再建手術などを除く治療費は公的保険の対象となるので、自己負担額は基本3割です。

しかし、入院中の食事代や入院するために揃えたタオルや下着などのお金、お見舞いに来る家族の交通費や宿泊費、子どもを預けた場合の保育料、差額ベッド代、退院した後の通院費用などは全額自腹を覚悟しなければなりません。

また、もちろん入院中には仕事や家事はできませんから、その分の収入が減ったり、家族の負担が増えたりすることも考えておく必要もあります。

30代~50代の、子育て真っ最中の時期に発症率が最も高い病気であるだけに、治療にお金がかかると養育費への影響も心配されます。このような金銭の負担をカバーしてくれるのが、女性保険の第一のメリットといえるでしょう。

⇒女性ならではの病気の経済的負担をカバー! 女性保険はどう選べばいい?

⇒女性保険を選ぶ前に! これだけは知っておきたい女性保険3種類はコチラ!

3-2 さらに厚い保障を付けることもできる

親族にがんになった人が多い、特定の病気になっている人が多いなどで、女性特有の病気以外にも手厚い保障がほしい場合もあります。女性保険は「医療保険+女性特有の病気に対しての特に厚い保障」が基本形ですが、そういう場合のために、ほかにも特約を付加してカバーできる保障の範囲を広げた商品もいろいろ揃っています。

追加される特約によって例えば、

    ・先進医療保障 … 先進医療を受けた場合に一時金や実費が支払われるもの
    ・がん保障 … 女性特有のがん以外に、消化器・循環器系など一般的ながんも手厚く保障するもの
    ・三大疾病対応 … 女性特有の病気以外に、三大疾病(がん、急性心筋梗塞、脳卒中)も手厚く保障するもの

などです。

保障の範囲が増えれば、当然月々の保険料も上がるのでバランスを取ることが大切になりますが、女性特有の病気に備えつつ、特定の病気にも備えられるというわけです。

3-3 貯蓄型なら定期ボーナスも受け取れる

女性保険には掛け捨てタイプのほか貯蓄型タイプもあり、定期ボーナスを受け取ることができる商品もあります。

入院・手術などの有無を問わず、予め決められた年数ごとに支払われる「生存給付金」、入院や手術などがなかった場合に支払われる「健康お祝い金」などがそれで、金額は十数万~数十万円が一般的です。

お得かどうかは月々の保険料とのバランスで考えてみる必要がありますが、ちょっとした臨時収入として家計の貯蓄作りや必要な出費をまかなうのに役立ちます。


4.年齢別に見る女性保険の活用法

4-1 20代~30代:妊娠・出産への備えとして

20代~30代は病気のリスクはその後の世代ほどは高くはなく、就職から結婚、出産へと環境が大きく変わる時期です。そこで、保険も生活の形態やライフステージに合わせて考えていくことが必要になります。

具体的には、就職したばかりなどで親と同居中、親も現役で仕事をしているというような場合には、保険に入る必要性はそれほど高くはないでしょう。

一方で独り暮らしの場合には、万が一病気や怪我で働けなくなるとすぐに生活にも影響が出ることになります。そのため若い世代でも女性特有のがんになるリスクがあることも考えれば、保険に入っておくと安心です。終身型保険の場合、若い時に加入すると保険料負担が小さいので入りやすい、というメリットを活かすこともできます。

また、結婚を機に、妊娠・出産への備えとして女性保険を利用するのもおすすめの活用法です。

ただし、妊娠中には加入できなかったり、保障が限定されることもあるので、出産リスクに備えるには早めに加入しておく必要があります。10年や15年の定期、1年更新の定期女性保険もあるので、必要な期間だけ加入するという使い方もできます。

4-2 30代後半~50代:女性特有のがんへの備えに

30代後半~50代は乳がん・子宮がん・卵巣がんの発症率が高く、これらの病気に対する備えがもっとも必要な年代です。加えて、まだ子育て中のことも多く、子どもの養育費にたくさんのお金がかかる時期でもあるので、万が一病気になってしまったとしても、高額の治療費で養育費が圧迫されるのは避けたいところ。

そこでこの時期には、やはり女性特有のがんへの備えとして、女性保険を活用するのがおすすめです。10年や15年、または60歳までの定期商品を利用して、リスクの高い期間だけを公的保険の補助として使うこともできます。

ここで注意したいのは、50代頃になると消化器系・循環器系のがんの罹患率も徐々に上がってくることです。

女性保険の手厚い保障の範囲は商品によりまちまちで、女性特有の病気のみのものもあれば、一般的ながんまで広く含むものもあるので、契約時によく確認して、自分の求める保障がきちんとカバーされているものを選ぶことが大切になるでしょう。

4-3 60代以上:一般の医療保険・がん保険の優先を

60代になると、女性特有のがんの罹患率・死亡率は下がり、代わりに消化器系・循環器系のがんの罹患率・死亡率が上がってきます。そのため、女性特有の病気よりも一般的な病気(特にがん)への対策の方が重要度を増してきます。

終身型保険に入っている場合には、基本的に一般の病気への保障も含んでいるので特に解約する必要はありませんが、これから加入するなら、がん保険や一般の医療保険にがん特約をつけたものの方が優先度は高いといえるでしょう。

⇒医療保険って一体!? 医療保険の基本の「キ」の「K」から徹底解説!!

⇒がんになったときの心強い味方! がん保険の基本の分かりやすい解説はコチラ!!



まとめ:年代によって変わるリスクを意識しよう

ここまで

    ・女性には女性特有のがん、女性器のトラブル、妊娠・出産の負担と、男性にはない健康上のリスクが存在すること
    ・がんにかかる女性全体の約30%が乳がん、子宮がん、卵巣がんのいずれかであること
    ・これら女性特有のがんは、若いうちから発症のリスクがあること
    ・一番発症リスクが高いのは40~50代であること
    ・治療には治療費・手術費以外にもさまざまな費用がかかること
    ・仕事や家事ができないことによる負担も考えておく必要があること

などについてお話してきました。

女性保険の厚い保障の対象である女性特有の病気には、リスクが高まる年代というものがあり、年齢ごとに、どんな備えが必要なのかは変わっていきます。妊娠・出産時のリスクをカバーするなら、保険料も安い若いうちに、遅くとも妊娠前に加入しておくのをおすすめします。

また30代後半以降は女性特有のがんのリスクが高まるので、これらをカバーするために女性保険を利用するというのが最も多い使われ方です。これらを一応のベースとして参考にしていただければ、保険の専門家などに相談してカスタマイズしていく時にも、きっと役に立つのではないかと思います。

保険見直し本舗でも女性のコンサルティングアドバイザーが多数在籍しており、保険選びについてしっかりとサポートいたします。ぜひ無料の保険相談で気軽に質問をお寄せください。

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